先輩が部下になった!どうすれば動かせるか まずは年齢という呪縛から脱しよう

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演じる役割が変わって、そうかこういう道もあったかと発見できたら、名脇役誕生ですよね。いったん役割論をつかんでしまうと、もう過去の名声は引きずらないです、切り替えられるから。すごく楽になります。

過去の栄光はいったん封印

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──そこへたどり着くために、先輩部下自身も心することは?

今まで積み上げてきた年功を、自分の中でいったんゼロにリセットする。過去の栄光はいったん封印すべし、です。目を向けるべきは過去ではなく今。繰り返しになりますが、純粋な役割分担の感覚を持ってほしい。人間としての自分の価値はいささかも減じてない。ただ環境が変わり、もらう役割が変わったと認識する。ここが基本です。

どうすればこの先より勤めやすく、いい職場生活を送れるか冷静に考えてみる。自分が会社から期待されてるのは何なのか。モヤモヤした感情を脇に置いて、どう動けばチームの役に立てるか。

──お役立ち意識が必須になる。

一つ提案は、同期や後輩の部下に回ったら、あえて役職名で呼ぶように変えると、役割に徹して役を演じてる感を自覚しやすいかもしれません。今までどおり名前やオマエで呼ぶのを続けると屈折感を引きずる。別にへりくだって部長と呼ぶわけではなく、部長役のアナタに話してますと役割を演じてるだけになる。それができると、同期や後輩を誠心誠意助けてる、部下に徹して泥仕事やってくれて上はさぞ動きやすいよな、と上層部で株がめちゃくちゃ上がります。上はちゃんと見てますから。

──むしろ部下役のほうがオイシイ、となるかもしれませんね。

65歳定年時代に向かい、役割がどんどん入れ替わる役割循環時代になります。循環というのがカギで、後輩と先輩、あるいは同期間で上下の立場になったとしても、そこでドラマは終わりじゃない。企業も環境変化に対応するため、柔軟なポジションチェンジや新たな組み合わせが頻発してくる。そんなときお呼びがかかるのは多彩な役をこなせる人です。

しょせん役割は会社からの一時的な預かりもの。主演もでき名助演もできる人が尊敬される時代です。どんな場面でもそれに合った役割ができる。そんなふうに幅を持つと仕事が広がります。どんどん新しい魅力が出てくる。これですよね。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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