事実!日本人の「買物欲」は衰えていなかった ではなぜ「モノが売れない時代」と嘆かれる?

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その原因の一つは、間違いなく「情報爆発」にあるだろう。

昨今、世の中に流通する情報量は劇的に増加した。2005年から2014年までの9年間で、国内に流通するデータの量は10倍近くに増えたと言われている。2010年代からのスマートフォンの普及が情報爆発を加速させ、いまや生活者はつねに情報のシャワーを浴びていると言っても過言ではない。

普段、フェイスブックなどのSNSを使っている中でも、この「情報爆発」という感覚を経験している人は少なくないだろう。タイムラインにはフォローしている友人の投稿が次々に表示される。そのすべてに興味を持って接している人はまれであるはずだ。

膨大なのは情報だけでなく、身の回りの商品数も「爆発」している。たとえば、コンビニに行ってペットボトルのお茶を買うとしよう。ほんの数十秒の買い物をするために棚を見た時、その人の目に飛び込む飲料アイテムの数は実に平均79.6個にも上る(博報堂買物研究所調べ)。

1つの商品を買うのに約80個の商品情報に接するということは、購入する商品以外の79個は、結果的に「視界には入ったけれど、自分には関係ない商品」ということになる。おそらく多くの人は、自分が手に取ったお茶以外にどのような商品が棚にあったか、詳しく思い出すことすらできないだろう。つまり、自分に関係のない商品は「流している」ということだ。

欲求は大きく育つ前に飲み込まれ、流される

このように情報や商品数が増え続ける中、生活者の「スルーする力」が高まっている。今年2月に実施した調査では、「自分に関係ないと思った情報は、無視したり放置することが多いか?」という質問に対し81.8%の人が「あてはまる」と答えた。

買物欲は、決してなくなったわけではない。ただ、ある商品を「欲しい」と思っても、大量の情報と商品数の前でその欲求を十分に吟味することが出来ない。そして、その欲求は大きく育つ前に日々更新される情報に飲み込まれ、いつのまにか流され、忘れられてしまう。

いまは「買物欲が薄れている」時代なのではない。「買物欲が購買に結び付かず、流れる」時代なのである。

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