動き出した新生ナルミヤ、堕ちた“子供服王者”の再興なるか

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 百貨店テコ入れ策の第2弾が、冒頭の価格訴求型ブランド「リンジィ」だ。まさに、百貨店ブランドは高いというイメージの払拭を図る、戦略ブランドである。しかも従来の同社から見れば、破格なのは価格だけでない。モノづくりやそのスピードに大きな変化が表れつつある。

社内デザイナーを抱え、じっくりと作り込むことを重視してきたナルミヤでは、モノづくりに関してこれまで純潔主義を貫いてきた。その一方で、顧客ニーズより“作りたいものを作る”風土がいつしか醸成され、それが高コスト体質やスピード感欠如の一因になっていた。そこで外部デザイナーにも協力を依頼。トレンドを追ってスピードを一気に加速。個店単位で「わずか2週間のうちに新アイテムを追加投入することも可能になった」(保坂部長)。「リンジィ」も今秋一気に15店出店する。

店舗運営面でもメスを入れる。従来は、百貨店ではブランドごとに運営管理を行ってきたため、同じフロアに複数ブランドが集積していても、販売員は少なくとも「ブランド数×店舗数」の分だけ必要だった。だが、複数のブランドを一つのセレクトショップのように“大部屋”化、一人で複数ブランドを担当することで一気に販売効率が上がる。

不採算ブランドや店舗撤退(08年1月期983店→現在856店)も同時に進めているため、必要人員が大幅に縮小。07年1月期に2200人を超えていた人員数は、この11月に一気に1300人程度まで減る。一連の構造改革により、損益分岐点は売上高200億円を大幅に下回る水準まで低下する見通しだ。

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