グローバル化は「1493年」から始まっていた コロンブスの新大陸到達がもたらしたもの
中国には堰を切ったように新たなものが流れ込んできたが、その先陣を切ったのはタバコであり、タバコの中毒性は多くの人を虜にした。それ以降、サツマイモ、トウモロコシ、ピーナツやトウガラシなどが続々と中国に入ってきて、中国の食卓と農村の風景は瞬く間に変わってしまった。明から清へと中国の覇権が移行していったのは、まさにそんなタイミングだった。
清は明の残存勢力や海賊の補給路を絶つために、沿岸地域に住む人々を内陸部へと強制移住させた。この強制移住は人々を北や西へ、ついにはそれまでは住む者のいなかったような高地へと追いやり、彼らは棚民と呼ばれる存在となった。そのような急峻な高地ではコメをつくることなどできるはずもなく、棚民はアメリカ大陸から持ち込まれたトウモロコシ、タバコ、サツマイモに頼るようになっていく。
新たな食物のおかげで人口が急増するまではよかったが、この移住には大きな落とし穴が待っていた。棚民によって丸裸にされてしまった山は、雨水を保つ能力を失い、洪水が頻発するようになったのだ。宋代(960-1279)には2年に3回程度だった洪水が、清代には年平均6回にまで増えてしまったのである。コロンブス交換は、巡り巡って洪水をもたらすことすらあるということだ。
あらゆるものを交換し、均一化する世界へ
本書を読み進めていくと、「グローバリゼーション」の影響は経済の範囲にとどまることなく、あらゆる側面でわたしたちの世界を変えてしまったのだと痛感される。
ふと周囲を見渡すと、街はコロンブス交換の影響に満ち満ちている。あらゆるものを交換し、均一化を強力に推し進める人類のパワーは、今後も弱まることはないだろう。インターネットの登場によって、均一化はむしろより強力に加速していくかもしれない。
バラバラだった世界がどのように混ざり合い、変化してきたかを知ることで、グローバル化の進む世界を生き抜くヒントが得られるかもしれない。
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