米女子ツアー選手、日本でシュウカツ!?

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プロゴルファー/小林浩美

 今年の夏休みは、中国の上海周辺にある、杭州、蘇州、烏鎮(ウーチン)、紹興などに行ってきた。杭州近くでは遺跡から7000年前にはすでに稲作文化があったことが確認されている。

近年、開発ラッシュで人の活気がみなぎり、斬新なデザインの建物も建設中であった。烏鎮など運河で囲まれた街では、昔の家に現代の生活が息づいていた。
 中国は広い国土にたくさんの民族が住んでいて言葉や文化も違い、人をまとめるのは大変なことだろう。日本のように細かく決めごとをしていくようなやり方ではなく、米国と同じで、これとこれだけ守っていれば、あとは自由というスタンスなのではないかと感じた。

環境の変化にも柔軟に対応しているようで(そうせざるをえない反面もあるのかもしれないが)、発展の仕方がドラスティックに見える。同じアジア人でも、大陸型だ。
 そうそう、大陸といえば米国女子ツアーの来年の試合数は通常の半分程度で、これまでのところ14試合くらいしか決まっていないそうだ。金融情勢が大きく影響しているもよう。今年についても、試合がドタキャンされるケースも出ている。
 幸い日本女子ツアーは、経済情勢の影響はあるものの若手選手の大活躍などもあり、試合数は横ばいで推移している。

そんな中、米ツアーに出ている選手が、仕事を求めて日本ツアーに大いに興味を持っているという話が出ている。実際、6月の全米女子プロ選手権に視察に行ったときにも、どうやったら日本の試合に出られるのかを聞かれた。こんなことは初めてだ。
 これまでは、自国のツアーが発展途上のため欧州や韓国など各国から選手が米ツアーに参戦してきた。このような経済状況にならなければ、米ツアーに参戦している選手が、他の国のツアーに興味を持つことなど起きなかっただろう。世界一競争の激しいツアーで、賞金もいちばん高く、ツアーの仕組みも充実しているのに。

もし、日本ツアーに米ツアー選手が多くなれば、よい点としては、日本に居ながら世界レベルの戦いが見られるだろう。反面、ワールドランキングが示すように、海外の選手が上位に名を連ねる試合が続く可能性も出てくる。逆にそうなれば日本選手も刺激を受けて、さらなるレベルアップに拍車がかかる。
 また、アジアをはじめ外国選手の活躍で、外国企業のスポンサーも増えるかもしれない。日本ツアーが米国ツアーと並ぶ、もう一つの中核となるチャンスだ。
 その一方で、乗り越えなければならない問題も多いと思う。日本ツアーが今後どのような方向で進んでいくのか、対応が注目されるだろう。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)理事。TV解説やコースセッティングなど、幅広く活躍中。所属/日立グループ。
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