【海運大手3社の今期業績】宴の後の大苦悶、23年ぶりの歴史的不振

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 商船三井の修正幅が通期で2.48万ドルと最も大きいのは、期初の想定がもともと低かったからに過ぎない。通期の想定は大手3社ともほぼ似通ってきたが、下期想定を見ると、日本郵船が上期比0.7万ドルプラスの5.5万ドル、商船三井が上期比横ばいの5万ドル、川崎汽船が上期比0.55万ドルマイナスの4万ドルと方向性がマチマチ。川崎汽船は想定より1000ドル上回ると7億円の経常増益要因となる。通期想定が最も高い日本郵船の水準に落ち着く場合、川崎汽船には約61億円の増額余地となる。川崎汽船は今期のバラ積み船市況を、とことんシビアに見ようと社内で意思統一したのだろうか。東証で会見をした執行役員の山内剛氏は、「個人的には『下期は上がる』と思っているのだが・・・」と苦笑いしていた。

バラ積み船市況の想定外の高騰の一方、大誤算なのは、自動車船、タンカー、そしてコンテナ船である。

まずは自動車船。「4~6月期に底打ち、7~9月期に回復と見ていたが、9月以降にずれ込む」(川崎汽船の山内執行役員)。「9月以降、着実に回復するだろうが、期初にみていたよりも回復が遅い」(日本郵船のIR担当経営委員、甲斐幹敏氏)。「下期の計画がまだ提示されていない」(商船三井・経理担当執行役員の青砥修吾氏)という暗澹たる状況で、下期回復シナリオも怪しくなってきている。自動車船の回復の遅れは、取り扱い台数の多い順、すなわち日本郵船、川崎汽船、商船三井の順に各社業績見通しに悪影響を与えている。

自動車船の見通し:
      通期見通し;       
      期初     今回修正  前期実績 4~6月実績  前4~6月期
 日本郵船 266万台 226万台 326万台  43万台   88万台
 商船三井 170万台強 非開示  255万台  33万台   75万台
 川崎汽船 非開示    非開示  306万台  38万台   90万台

(注)商船三井は上期見通しを期初の76万3000台から71万1000台に引き下げる一方、通期見通しは期初から開示していない(商船三井の期初の表記通期見通しはあくまでも聞き取りベース)

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