【海運大手3社の今期業績】宴の後の大苦悶、23年ぶりの歴史的不振
半期ベースでは、今上期(09年4~9月)に3社とも営業赤字に転落する。09年10月~10年3月期(以下、下期)は、3社とも営業黒字化を見込むが、川崎汽船の下期営業利益は、期初計画の210億円からわずか60億円まで大幅に下方修正された。上期の修正幅を見ると、川崎汽船の360億円が最大で日本郵船の190億円が最小。一方で、下期の修正幅は、日本郵船と川崎汽船が150億円前後なのに対して、商船三井はわずか10億円とほぼ期初想定のままとなっている。
半期営業利益 日本郵船 商船三井 川崎汽船
07年度上期 906億円 1360億円 615億円
同下期 1114億円 1552億円 681億円
08年度上期 1348億円 1646億円 747億円
同下期 101億円 326億円 ▲31億円
2010年3月期
09年度上期(期初) ▲180億円 240億円 ▲50億円
同(修正) ▲370億円 ▲50億円 ▲410億円
同下期(期初) 710億円 560億円 210億円
同(修正) 570億円 550億円 60億円
【半期営業利益修正幅】
09年度上期 ▲190億円 ▲290億円 ▲360億円
同下期 ▲140億円 ▲10億円 ▲150億円
今期唯一の“うれしい誤算”は、バラ積み船市況の上昇である。中国の鉄鉱石の総需要は前期とそう変わらないが、鉄鉱石の単価や運賃が下がったことで、鉄分の少ない国内産よりも海外の鉄分の多い鉄鉱石輸入を大幅に増やしているために、バラ積み船の1日当たり用船料(=運賃)が一時ピーク時の2分の1の9万ドル台後半まで高騰した。平均でも各社の期初の想定を大きく上回ったため、大型バラ積み船(ケープサイズ)の市況前提を、大手3社とも期初の想定から大きく引き揚げた。期初からのケープサイズの平均は、7月30日までで5万1368ドルと大手3社の上期想定をすべて上回っているほか、通期想定でも最も高い日本郵船の想定に限りなく近づいている。
ケープサイズの市況前提:
期初 上期想定 下期想定 通期想定
日本郵船 3.00万ドル 4.50万ドル 3.75万ドル
商船三井 2.30万ドル 2.80万ドル 2.55万ドル
川崎汽船 3.00万ドル 3.00万ドル 3.00万ドル
今回修正 上期想定 下期想定 通期想定
日本郵船 4.80万ドル 5.50万ドル 5.15万ドル
商船三井 5.06万ドル 5.00万ドル 5.03万ドル
川崎汽船 4.55万ドル 4.00万ドル 4.27万ドル
【修正幅】 上期想定 下期想定 通期想定
日本郵船 1.80万ドル 1.00万ドル 1.40万ドル
商船三井 2.76万ドル 2.20万ドル 2.48万ドル
川崎汽船 1.55万ドル 1.00万ドル 1.27万ドル
(注)1日当たり運賃(=用船料)。日本郵船はBDIの想定をケープサイズに換算したベース