「トランプ大統領」はウォール街の悪夢なのか 今年の大統領選は不確実性の極み

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トランプ氏の構想には、法人税率引き下げや税制の簡素化といった伝統的な共和党候補が打ち出す政策も含まれる。同氏のウェブサイトでは、無駄や不正を一掃することで財政赤字を削減し、税収を増やすために経済成長を高めることもうたわれている。

カンバーランド・アドバイザーズの会長兼最高投資責任者、デービッド・コトク氏は「トランプ氏は減税と企業利益の本国還流を促進する制度の恒久化に賛成しているので、市場は同氏の税政策は好感すると思う」との見方を示した。

巨大で複雑な組織を運営できるのか

一方でトランプ氏は、ヘッジファンドやプライベートエクイティの運用担当者に支払われるキャリード・インタレスト(成功報酬)の税制優遇は撤廃する方針を示している。フィナンシャルアドバイザーからは、今後世論調査でトランプ氏の支持率がクリントン氏を上回ることになった場合は売りが広がる、との声がから出ている。

トランプ氏が果たして政府のような巨大で複雑な組織を運営できるのか、といった疑念を抱くのは、CRTキャピタル・グループのチーフ政府債ストラテジスト、デービッド・アデル氏だ。実際、トランプ氏は傘下のカジノ企業やホテルを破産申請したことがある。

アデル氏によると、トランプ氏が大統領に就任すれば先行き不透明感から投資家は安全な米国債に殺到する見込み。「結局破産したカジノを経営することと、国およびその外交政策の運営はまったく別物だ」という。

こうした中で富裕層向け資産運用会社ベルエアー・インベストメンツ・アドバイザーズのシニアマネジング・パートナー、トッド・モーガン氏は、トランプ氏が共和党候補指名を獲得する確率が増大してきていることを理由の1つに挙げて、過去4カ月でいくつかの顧客ポートフォリオにおける現金の比率を高めた。トランプ氏が大統領選自体も勝利しそうなら、さらに株式の売りを増やす公算が大きいと話している。

(Gertrude Chavez-Dreyfuss、David Randall記者)

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