巨象トヨタを苦しめる負の遺産、“絶頂からの転落”を徹底検証《特集・トヨタ土壇場》

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 今後は車種についても、質・量両面から見直す公算が高い。トヨタ副社長の一人は「プラットホーム(車台)はグローバルで統合しながら、ローカルに合った車種を展開する」と言及。思えばここ数年、国内モデルの多くは北米仕様に準拠し、サイズが3ナンバーへとどんどん大型化し、5ナンバーが減っていった。米国で大ヒットしながら、日本で人気のないカムリなどその典型だ。

ただし地域の需要変化に対応したキメ細かな商品展開は手間も費用もかさむもの。効率よい従来の大量生産・大量販売のビジネスモデルから大きな思想転換を迫られる。

たとえばトヨタの場合、車種は国内だけで50、基本となるプラットホーム(車台)はFF(前輪駆動)系とFR(後輪駆動)系で計12ある。日本メーカーは設計・生産コストを低減するために、一つのプラットホームから複数の車種を製品化してきた。トヨタも最近では、新型プリウスの車台を「オーリス」と共通化し、インドで10年に投入する低価格小型車「EFC」は、「ヤリス」のそれを改良したものだ。今後はプラットホームそのものも、「もう少し減ればいいなと思っている」(トヨタ副社長)。こうした動きはさらに加速し、よりメリハリある資源の再配分が求められよう。

重点注力先となる新興市場では目下、中間層のモータリゼーションが始まったばかりだ。トヨタのシェアは中国で6%、インドやブラジルで2~3%程度。たとえ伸びても量が出るのは、採算の低い小型車になる。先進国向けに先行したハイブリッド車でも、低価格化が一層進むのは間違いない。トヨタがかつてのように、2兆円もの営業利益をたたき出す日は再び訪れるのか。

「身の丈を超えたやり方、働き方で、トヨタの強みが発揮できなかった」。就任会見では自身も含む過去の経営について、あらためて否定した章男氏。工場や人員、車種……。トヨタが健全な体質に生まれ変わるまで、メスを入れるべき分野は多く、今後は「現場重視」の姿勢が合理化を阻む場面もあるかもしれない。章男氏の真の苦難はこれから始まる。

■業績・事業概要など、会社情報の詳細はこちら

(週刊東洋経済)

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