巨象トヨタを苦しめる負の遺産、“絶頂からの転落”を徹底検証《特集・トヨタ土壇場》


 「問題解決のスピードと徹底が十分でなかったと反省している」。渡辺氏も5月の決算発表で、路線修正が遅れたことを認めたが、それを自身一人の責任にするのは酷だろう。

もっとも四半期ベースで見るかぎり、業績の底が09年1~3月期なのは間違いない。この期は6825億円の営業赤字で、米ゼネラル・モーターズ(GM)の赤字56・6億ドルをも超える数字だった。08年末から極端な在庫整理に踏み切ったことで、国内工場の稼働休止日は4月で終了。新型「プリウス」好調も後押しし、7月からは愛知県堤など3工場で、土曜日出勤も再開する。

「会社側は慎重に見すぎている。4~6月期も思っていたほど悪くない」(松島憲之・日興シティグループ証券マネジングディレクター)。1日当たり生産台数を見ても、09年3月の8492台を大底に、この9月には「損益分岐点」の1万2000台まで回復する計画だ(下図)。

が、今の世の中、変化が速い。米国景気の回復が予想外に遅れそうなうえ、直近では91円まで円高も進み、楽観ムードは急速にしぼんだ。いくらプリウス1車種だけが50万台売れても、それは全650万台分の50万台。「カローラ」(140万台)や「カムリ」(80万台)など、ほかの主力車種が世界レベルで回復してこないと、危機を脱することは難しい。

豊田章男新社長は「3期連続赤字は回避する」と明言したが、外部環境次第で大きくブレる構造はそう短期間では変えられない。


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