巨象トヨタを苦しめる負の遺産、“絶頂からの転落”を徹底検証《特集・トヨタ土壇場》

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


急拡大路線のツケで余剰は300万台超

世界の自動車市場が縮小した現在、トヨタにとっての構造問題の焦点はその過剰な生産能力だ。世界26カ国で53工場を抱え、年産能力は約1000万台。今期販売台数が650万台だから、少なくとも300万台以上がいらない計算になる。

とりわけ能力があり余っているのは海外だ。98年に稼働した米インディアナをはじめ、01年のフランス、02年の中国・天津、04年のメキシコ、05年のチェコ、06年の中国・広州や米テキサス、07年のロシア……。奥田・張富士夫・渡辺時代と前社長3代にわたり、ほぼ毎年のように工場を立ち上げていった。

「タンドラはいい商品でコストも安い。投資は回収できると確信している」。06年11月に稼働したテキサス工場。開所式後の会見で「テキサス工場の償却は大きくてリスクも高い。ガソリン価格も高騰しているが」とただした記者の質問を、当時社長の渡辺氏は胸を張って一蹴した。

トヨタの海外展開で“最大の失敗”とされるテキサス工場は、総額12億ドルを投じたフルサイズ(大型)ピックアップトラック「タンドラ」の生産拠点だ。トヨタは高価格の同トラック市場で、シェア10%へ倍増を狙い本格進出。敷地には豊田合成などトヨタ系中心に、部品会社21社がサプライヤーズパークを建設、5分での部品納入も可能にした。テキサス州は当時のブッシュ大統領の地盤で、新工場は“ブッシュへのプレゼント”と揶揄されたほどである。

しかし、ガソリン価格が暴騰した08年夏、タンドラの販売は急減、テキサス工場は3カ月間の休止に追い込まれる。その後もリーマンショックによる不況が直撃し、年産能力20万台ながら、08年は9万台しか生産できなかった。テキサスはタンドラ専用工場ゆえに、生産車種の転用も効かない。設備が最新鋭だから償却も済んでいない状況だ。

ある外資系証券アナリストは「トヨタはホンダと異なり、工場をまたぐフレキシブルな生産ができてなかった」と、北米生産体制全体の欠陥を指摘する。


関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事