初めて女性リーダーとなった業販支援室 室長代理の中島照美さんは、自身の活躍がほかの女性社員に大きく影響を与えるという環境の中で、「ザ・ファーストペンギンになる」と意気込んでいます。
「ファーストペンギン」とは、リスクを恐れずに挑戦する人、という表現で用いられています。最近ではドラマ『あさが来た』で、女性が起業するなんて言語道断という時代の中で奮闘する主人公・あさを、メンター役である五代がそう呼んだことで話題になりました。
「私は2児を持つワーキングマザーなので、子育て中は子どもの急な発熱などで思うように働けず、パート勤務にならざるを得ない状況で。けれど、会社が女性活躍推進の取り組みをし始めたことで、上司も周囲も『家庭は大事』と理解を示してくれて、両立が当たり前の環境になりました。
組織も変わりました。これまではトップダウンで『こうしなさい』という指示役だった上司が、今ではボトムアップで出てきた意見の調整役にまわることが当たり前になりました。今後は、もっと女性にも営業など第一線でチャレンジしてほしいと思っています」(中島さん)
「抜擢」では、会社も本人も不幸になる
「抜擢はしない主義」と、松沼社長は言います。中島さんは、目の前の仕事に一生懸命取り組んでいたらリーダーに、と声がかかったそう。「無理に抜擢をすると、会社も本人も背伸びしようとして不幸になる。『周りに必然と認められる』人であれば声をかけますね」(松沼社長)
松沼社長が実行した「宣言」と「発信」は、女性の活躍を促進するという目的だけでなく、業界をとりまく環境の劇的変化にも深く起因していました。これまでセールスの主流だった「狩猟型営業」が徐々に通用しなくなり、時代に即した「農耕型営業」に変わらなければならないタイミングが訪れたのです。
販売するチャンスが少しでもあればとにかく顧客のところへ飛んで行き、相手の顔色をうかがいながら「はい、何万円のお値引き!」と、いい販売条件を顧客に提示して購入を迫る。そんなこれまでのやり方では、顧客に対する公平感がまったく存在しません。
そんな中松沼社長は、これからは「農耕型営業」が重要になると考えます。大きな数字をつくることを得意とするのが男性なら、女性はコツコツと地道に種まきをして、決められたことをきちんとこなし、お客様と長くお付き合いができる関係をつくれるだろう――。少子高齢化や車離れで縮小市場の中、まさに期待されている資質を、女性に見いだしたのです。
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