男中心の業界でも、「女に頼れる会社」が勝つ 営業は「狩猟型」から「農耕型」への転換期に

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もちろん職場では、男性も女性も、互いを補完し合いながら活躍していくことが重要。顧客に対する公平感と同様に、あくまで男女間も対等に、そしてどちらかに偏らない舵取りが欠かせません。

女性活用は「手段の一つ」に過ぎない

松沼社長は、強い意志を込めてこう話します。

「いい採用をしても、辞めてしまうと企業の損失になる。いかに『辞めない会社』にするかが大切。そのためには、『自分の会社や仕事に誇りを持てる会社』にすることです。『青森で安定している会社だから』『なんとなく親の勧めで入社したから』『潰れない会社だから』という理由で入社してきても、ロイヤリティは醸成されません。

働く意義を強く抱けるようにすること。そのためには、『青森ダイハツ』というブランドを自分たちで築き上げるしか術がなかったのです。CS(Customer Satisfaction=顧客満足)は大事ですが、それ以上に大事なのはES(Employee Satisfaction=社員満足)。全社員を満足させるのは難しいですが、それでも当社に入ることで『働く意義』をつかんでほしいと思っています。

このブランドのためには、皆の意識を合わせ、一人ひとりが自分の手で創り上げなくてはならない。何か改革を始めようとするときは、女性活躍という一つの手段ではなく、すべてを総動員していく必要があるのです」

高い離職率に頭を抱え、「女性営業なんて定着しない」という固定観念が強く残る業界で、同社に在籍する女性営業は、この10年間、たったの2人しか退職していないといいます。

次回は、どのように「青森ダイハツブランド」を確立させ、「社員が辞めない会社」「社員が働く意義を持てる会社」に変わっていったのか、その具体的な施策についてご紹介します。

(構成:坪田塁)

※ 後編は3月4日(金)の掲載予定です。お楽しみに!

営業部女子課とは、主宰の太田彩子が2009年に立ち上げた、営業女子を応援するためのコミュニティです。女性営業職の活躍を拡げることで、結果男女ともに輝きながら働ける社会創造を目指しています。詳しくはこちらをご覧ください。
講演・セミナーのお問い合わせはこちら → kouen@yoshidamsaki.com

 

太田 彩子 「営業部女子課」主宰

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おおた あやこ / Ayako Ota

一般社団法人 営業部女子課の会 代表理事(「営業部女子課」主宰)。早稲田大学卒業後、リクルート・ホットペッパーの企画営業として社内表彰であるMVP制度にて表彰を複数回受ける。その後独立し、ダイバーシティプロジェクトや女性活躍支援に携わり、のべ5万人以上の女性営業を支援してきた。2009年より営業女子のための応援コミュニティ『営業部女子課』を全国で展開し、営業女子の活躍を目的とした勉強会やイベントを開催。NHK「グラン・ジュテ」や日本テレビ「news ZERO」、日経新聞などメディア出演多数。代表著書に『売れる女性の営業力』(日本実業出版社)、『1億売るオンナの8つの習慣』(かんき出版)、『営業女子 働き方の基本がわかる教科書』(プレジデント社)などがある。内閣府特命担当大臣表彰「平成28年度女性のチャレンジ賞」受賞。日本政府主催「WAW!2016」アドバイザー。株式会社ベレフェクト代表取締役。アライドアーキテクツ株式会社社外取締役。太田彩子ブログはこちら。営業部女子課サイトはこちら

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