(第21回)「四字熟語・故事ことわざ」で綴る就職支援・第八話『面接入門』其の三

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「自分という存在を見てもらう、見せてやる!」
くらいのスタンスでいこう!

 よく学生同士の会話で「面接、失敗しちゃったよ」ということを聞く。だが、面接で失敗するなどということは本来ありえないことなのだ。おそらく、答えられなかったという印象を“失敗”と勘違いしているだけのことではないだろうか。実は、自分のことをよく知っていなかったり、入社の意欲が弱かったり、企業研究などの準備をしていなかっただけのことに違いない。すなわち、面接本来の意味合いを大きく取り違えてしまっているのではないか。むしろ、それは面接への「誤解」と呼んでもいいかもしれない。
 あえて、「失敗」との表現を使うとするならば、それは「就職」に対する意識を明確にしないまま、入社試験に臨んだ結果であるといえるだろう。実際のところ、そうした学生は、ほとんどの企業で不合格になっている。

 この6月を迎えてもなお、面接で良い結果が出ていない人たちは、ぜひ考え直してもらいたい。他者のために就職試験を受けているのではなく、あくまでも、自分の将来のために面接という場面に向き合っているのだと…。繰り返しの表現となるが、「すべての企業にウケるような面接」などありえない。あなたという人物を会話=面接を通して評価してくれるオンリーワンの企業に出合ってもらいたい。必ず、そうした企業は存在する。
 総じて言えることは、面接で内定を勝ち取ろうなどと、あまり気張らないことだ。つまり、あなたの人柄や個性、ものの見方や考え方などが、どれだけ相手に伝わるかがポイントといえよう。そのためにも、余計な背伸びなどはしてはいけない。ごく自然体で臨むのがベストだと考えてもらいたい。そして、自然体であるために必要なことは、自分自身の就職に対する考え方をきちんと整理しておくことに尽きる。

 さて、まとめに付け加えたいことがある。筆者が企業に取材してみると、すべての担当者が「こうした学生は敬遠します」と話す傾向がある。“こうした学生”とは、どんなタイプを指すのか? それは「元気、覇気、やる気」のない人物である。そのようなタイプの人物を新たに採用するなどということは120%ありえない。そこでだ。緊張の中にあっても「とにかく御社に入社したいという意欲」は前面に押し出して臨んでもらいたい。この試練を乗り越えた先には、バラ色の未来が約束されていると信じてみたいものだ。
 VON VOYAGE!!
菊地信一(きくち・しんいち)
昭和27年仙台市生まれ。仙台一高、早稲田大学商学部卒業後、株式会社文化放送ブレーンを経て、平成2年より「現代職業工房」を主宰。この間一貫して人材採用をテーマに、採用戦略・計画に関するコンサルティングを行ってきた。企業と学生、両者を知り尽くした公正な立場に基づく本音のアドバイスは、企業セミナー、各種講演会でも好評を博している。『履歴書職務経歴書づくりの達人』(中経出版)、『就職活動のすべてがわかる本』(同文館出版)、『日経就職百科』(日経事業出版社)、『自己分析からはじめる就職活動 2010年度版』(日本実業出版社)、『キャリアデザイン入門』(光生館)など、就職関連の著書は45冊を数える。
現在、日本工業大学教授、北星学園大学非常勤講師、東北学院大学非常勤講師、コズモワールド顧問、文化放送キャリアパートナーズ学生支援部顧問キャリアアドバイザー、日本ジャーナリストセンター主任講師を務めるほか、講演・講義を行ってきた大学は85校にのぼる。
佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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