三陽商会が自社ブランド購入者に割引券、積極販促で局面打開図る
大手アパレルの三陽商会が業績巻き返しに懸命だ。6月から全国約60の主要百貨店で、2万1000円以上の自社ブランド購入者に対して、次回の購入時に使える1000円の割引券を配布。割引券の配布は購入単価2万1000円ごとに行い、約5%の実質値引きとなる。こうした割引券を店頭で配布するのは、同社初の試みだ。
アパレル各社は、秋冬物の展示会を開催、受注獲得にしのぎを削っている最中だ。三陽でも今秋冬物で新味をだそうと知恵を絞る。従来は「当たり前」とされていたことも場合によっては「原点に帰る」あるいは「ゼロベースで考えなおす」といった作業を行っている。例えば主力のバーバリーは前者。「猛暑→暖冬」という気候パターンが定着している現在では秋冬物の投入は、ともすれば10月以降になりがちだが、今年は9月からウールコートを店頭でしっかり提案、販売していく方針を確認。固定客やファッション感度の高い層を早くから取り込もうという戦略だ。バーバリーの顧客層よりも若い25~35歳前後のキャリア女性などを狙ったバーバリーブラックレーベル(写真)も、バーバリーをより現代風に進化させたワーキングウエアを提案する。
一方、売上高の約12%を占めるSCなど新販路向けのブランドでもさまざまな工夫を試みる。例えばトップス、ボトムス、アクセサリーの3点を自由に組み合わせてもらい、1万500円で販売する。こうしたセット販売自体は珍しいことではないが、今秋からは毎月実施することで新鮮味を打ち出し、販売増に結びつける狙いだ。
三陽が4月末に発表した09年1~3月期(第1四半期)は営業損失が4.6億円(前年同期は24.6億円の黒字)となるなど、主力の百貨店向けの不振が響く。物作りに定評がある同社だが、一連の試みは功を奏すか。「東洋経済オンライン」は三陽の今期会社計画営業利益31億円を達成は厳しい、と判断して独自予想をしている。一連の巻き返し策と四半期業績の推移を見ながら、適宜修正していく。
(福井 純)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2008.12 133,089 4,763 4,839 2,296
連本2009.12予 123,000 1,500 1,700 800
連本2010.12予 125,000 2,500 2,700 1,300
連中2008.06 63,064 1,658 1,829 -461
連中2009.06予 56,000 -1,000 -900 -700
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1株益¥ 1株配¥
連本2008.12 17.3 15
連本2009.12予 6.4 12-15
連本2010.12予 10.3 12-15
連中2008.06 -3.4 0
連中2009.06予 -5.6 0
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