慰安婦報道で露呈した朝日新聞の「体質」

「崩壊 朝日新聞」を書いた元記者に聞く

長谷川煕(はせがわ・ひろし)/1933年生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒。61年に朝日新聞社入社。88年初めまで経済部など新聞の編集部門で取材、執筆し、次いで、創刊の週刊誌『AERA』に異動。93年に定年退社した後も、フリーの社外筆者として『AERA』での取材、執筆を2014年8月まで続ける。著書に『コメ国家黒書』など

──昨年末に慰安婦問題を解決する日韓合意がありました。

一応、政府間では決着し、対立し合わないと表向きはなった。しかし、なお韓国の最過激派の民間団体はそんなことでは済まさないと、自国の朴槿恵(パク・クネ)政権に対しても激しく攻撃する運動を始めている。この団体と朝日新聞記者がつながっていろんな暗躍をした経緯がある。

再び怒りが込み上げてきたのは、日韓合意の翌日の紙面だ。韓国の日本に対する憎悪の原因は朝日新聞の虚報だったのだから、合意がなった機会にあらためて朝日新聞社として日本国民および韓国国民に謝罪があってしかるべきだ。何らかの大きな記事が出てくると思っていたが1行もなかった。政府間の複雑な交渉関係をひとごとのように書いている。

──記者が暗躍とは?

さかのぼって朝日新聞記者がこの問題で韓国民間人とどういう結び付きがあり、どういう関係だったのか。そこまで突き詰めないと、物事の根本を洗い出すことにならない。これは2005年のNHKとの衝突事件とも関係してくる。

──公共放送に対する政治の介入といわれました。

NHKの番組内容に政治家が圧力をかけ、「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」に関して番組が改変されたという記事だ。相手が朝日新聞嫌いの政治家だからこそ、公共放送に対する政治の介入をキャンペーンの理由にしたフシがある。あのときも、物事をすり替えてごまかす朝日新聞社の体質を象徴していると思った。

戦前から貫かれているマルクス主義的思考

──朝日新聞社の体質?

どれほど個々の記者が意識しているか。強烈に意識している人もいるだろうし、一つの空気の中にいるから、それが通常のことと思って考えたり書いたりしている人もいるだろう。基本的にはマルクス主義が思考の根本にある。過去を否定する思想であり、最終的にプロレタリアート独裁の共産主義社会をユートピアとして考える。

大正時代にロシア革命が起きた前後ごろから、戦争中も、そして現在に至るまで、その考え方が朝日新聞記者の少なからざる部分、さらに空気としては大部分のところで貫かれていると、私の取材で結論を出さざるをえなかった。

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