「話が通じない」と嘆く人が見落とす"盲点" ANA流伝え方で「言った、言わない」が解決

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人から人への仕事の引き継ぎの場面では、コミュニケーションのミスやトラブルが起こりやすくなるので特に注意が必要です。シフト勤務の整備士たちは、いわば「引き継ぎのプロ」。24時間交代制でも滞りなく仕事が進むよう、さまざまな気づかいを行っています。

ANA整備士の「3つの鉄則」

ANAの整備士たちが引き継ぎを行う際には、つぎのような3つの鉄則があります。

①基本は書面で行う
②かならず口頭で補足する
③作業の「現場」で引き継ぎを行う

 

多くの職場で省略されがちなのが、①の「書面で行う」ではないでしょうか。ついつい楽なので、口頭の打ち合わせのみで引き継ぎを済ませ、受ける側も「わかった」と思い込んで、ミスが起こることは少なくありません。書面をベースとしながら、口頭でも補足することで、情報伝達の正確性はグンとアップします。

「現物」を見ながら引き継ぎを行うことも重要です。例えば部品交換の途中で作業を引き継ぐ場合、外した部品を見ながら引き継ぎを行います。その際、部品をわかりやすく並べておくという配慮をすることで、次の人が何をすればよいか理解しやすくなります。

複雑な配線などは、次の人のために「スケッチ」や「図」にして残します。言葉だけだと認識の相違が生じることがありますが、絵に描けば、誰にでもわかります。ミスを起こさないように伝え方を工夫することが、次の作業者への「気づかい」になるのです。

なお、引き継ぎにかぎらず、書面で何かを伝えるときに便利なのが「フォーマット」です。個人の裁量で文書を作成すると、ヌケ・モレが発生し、 相手に大切なことが正確に伝わらないことがありますが、フォーマットがあれば、それを防ぐことができます。

ANAの技術部門では、現場の整備士に整備作業の指示などをするとき、「エンジニアリング・オーダー」という文書を作成し、指示します。エンジニアリング・オーダーには定型のフォーマットがあり、基本は5種類で構成されています。

①作業指示が必要な理由
②対象の機体番号、実施期限
③必要な部品
④必要な工具
⑤指示の内容(具体的な作業手順書)
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