「話が通じない」と嘆く人が見落とす"盲点" ANA流伝え方で「言った、言わない」が解決
逆に伝えられた側が「ちゃんと伝わりましたからね」ということを言葉で言ってあげるのも気づかいのひとつです。
「そのとき、別の言葉に置き換えてあげると、相手に安心感を与えることができる」と山内は言います。
先の例でいえば、次のように言葉を返します。
Bさん「承知しました。高輪口のほうに夕方5時、17時ですね」
省略部分も「確認」でミスを防ぐ
また、ANAの整備部門では、ベテラン整備士は数字の単位を省略することが多いので、次のように単位を確認しています。
Dさん「15インチですか?」
Cさん「違う。1000分の15インチだ」
パイロット同士でも、必要な事柄を隣の副操縦士(または機長)が認識しているか、口頭で確認する取り決めがあります。「コールアウト」と呼ばれるルールです。
副操縦士(または機長)「チェックト」
着陸まで約1分30秒前の高度まで降下したとき、かならずこのように確かめ合ってから着陸作業に移ります。これでお互いが「あと1000フィートになった」と認識し合っていることがわかるわけです。
また、アルファベットの認識違いは、ミスやトラブルの元となるので、電話でアルファベットを伝えるときには、「アルファのA」「ブラボーのB」「マイクのM」「ノベンバーのN」などと単語を添えて確かめ合う方法も実践しています。
伝わるための会話を実践するために、相手に伝わっているかどうかまで確かめる。これがANAで大切にされている方法です。