統合実現でも晴れない新生・あおぞら銀の深い霧、収益モデルが破綻、公的資金にも壁
原点回帰--。赤字決算を受けて両行ではそろって海外事業を大幅に縮小、今後は一般事業会社向け貸し出しなど国内での銀行業務に経営資源をシフトする姿勢を打ち出した。早期退職実施などリストラも推進、これにより10年3月期は最終損益で新生銀が100億円、あおぞら銀は50億円の黒字を確保したい考えだ。
とはいえ、そもそも両行が有価証券投資やオルタナティブ投資にのめり込んでいったのは、1998年の経営破綻で信用力が失われ、旧行(日本長期信用銀行、日本債券信用銀行)時代の顧客基盤が棄損してしまったからにほかならない。いわば伝統的な銀行業務に代わる収益モデルを、欧米流の投資銀行ビジネスに求めざるをえなかったのだ。メガバンクなど大手行による国内企業との取引寡占化が一段と進む中で、それを今さらながら元に戻し、かつ競争に打ち勝っていけるのか。
先行きへの不安は、資金運用の面だけではなく、調達構造の異様さにもうかがえる。リーマンショックによる金融市場の収縮で金融債の発行難などに陥った両行は、1年物定期で1%を超える高金利と、安い決済手数料などをセールストークに、個人を中心とした預金獲得拡大へと邁進。その結果、新生銀の3月末の預金量は6兆0124億円と前年同期比で15%も増加、あおぞら銀も2兆6256億円と同11%増えた。
だが、こうした高金利預金は、「集めれば集めるほど自らの首を絞める形となる」(大手銀行幹部)。支払い金利負担の重さに耐え切れず、いずれはハイリスク・ハイリターンの運用に逆戻りするか、下手をすれば破局さえも招きかねない「危険な賭け」(銀行関係者)だ。