乱立する新興検定の舞台裏、漢検除けば、どの検定も青息吐息

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年間1万以上を集めても赤字から抜け出せない

運営状況が厳しいのは、ご当地検定に限った話ではないようだ。

たとえば、「定年力検定」。定年後の資産運用や相続などの知識を身に付けることを目的に、06年から開始され、毎回300人前後の受検者を集めている。この検定を運営するNPO法人日本定年力検定協会の米田貴虎氏は、「ボランティアが手弁当で運営している」と話す。「自宅の近くで受検したい人が多いことから、全国20カ所で実施しているが、運営コストの面から見たら、非常に厳しい。広告はとても打てない」。

毎日新聞社と日本ニュース時事能力検定協会が共催するニュース時事能力検定は、開始は2年前と歴史は浅いが、合格者は、226校の大学・短大・高校の入試で評価・優遇されることから、昨年は年間1万5000人の受検者を集めた。比較的成功している新興検定といえる。

ところが、収支は赤字。年間の収入は1億円に満たないという。この検定を企画した毎日教育総合研究所の出川研氏は、次のように語る。「主な収入源は受験料とテキストだが、たかが知れている。PRをしても、試験の回数を増やしても、受検者数の急増は難しい。受検者数が年間10万人を超えれば採算がとれると思われるが、それには英検のように知名度と信用を培うことが必要。そこまで行くには30年はかかる」。

今年3月、「漢検」で知られる日本漢字能力検定協会が、不適切な運営をしていたとして、文部科学省から改善を求められた。ファミリー企業への業務委託による利益の中抜き、株取引の損失穴埋めなどの私的流用、在任中の退職金受け取りなどの実態が明らかになったためだ。

しかし、他の新興検定で漢検のように多額の利益を上げている検定はほんのひと握り。大多数の検定は、ギリギリの財政状況の中、知恵を絞って運営されているようだ。

【問題の答え】
第1問(函館歴史文化観光検定)答え:(3)第2問〔房総(千葉)学検定〕答え:(2)第3問(京都検定)答え:(1)

(週刊東洋経済)

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