乱立する新興検定の舞台裏、漢検除けば、どの検定も青息吐息


 なぜ、受検者不足に苦しむ検定が多いのか。石黒氏は、「取り組みの甘さ」を挙げる。受検者のニーズには、主に「観光ガイドになりたい」「歴史や文化の知識を身に付けて、人生を豊かにしたい」の二つがあるが、観光ガイドの育成を掲げたものの、合格後の講習会や仕事の斡旋を行わない検定は多い。

重箱の隅をつつきすぎる問題を出しているケースも散見される。たとえば、今年の「小江戸川越検定」の2級試験は、合格率0・43%という超難関ぶりだった。

「検定事業は、単に検定を用意するだけでは成功しない。ガイド育成なのか、観光客の誘致なのか、目的をはっきりさせて、それに応じて、講習会や合格者へのフォローなどの仕組みを作り上げることが必要だ。しかし、多くの検定では、それがなされていない」(石黒氏)。

中には検定スタートまで1年以上かけて準備すべきところを半年で済ませたり、「検定慣れしている」という理由で地元の商工会議所に運営を丸投げしている検定もあるという。「根底には、京都検定の成功を受けて、安易に検定をスタートさせた『横並び主義』がある。しかし、それでうまくいくほど甘くない」と、石黒氏は苦言を呈する。

ご当地検定は生き残れるのか

もっとも、受検者に魅力的なインセンティブを用意している検定も少なくない。たとえば、観光ガイドを育成する仕組み。京都検定は、1級に合格すると京都産業大学日本文化研究所の特別客員研究員になれる。「毎年20名前後の希望者がいる。評判は上々」(京都商工会議所)。また「ひろしま通認定試験」は、商工会議所が主導し、勉強会や視察会をする合格者組織を作った。「交流が深まり、知識が高まると好評」(広島商工会議所)。北海道フードマイスター検定は、合格者にホテルやスーパーなどへの求人情報を提供するという。

観光客向けの特典を用意している検定も多い。博物館や美術館などの観光施設の優待割引は、その代表。「倉敷検定」は、合格者に加盟店でさまざまな特典を受けられるパスポートを贈呈している。「倉敷検定はネット上で気軽に受けられる。このようなネット受験の仕組みを用意している検定も増えている」(石黒氏)。

しかし、それでも受検者の減少を食い止められている検定は少数派。ご当地検定事業の難しさがうかがえる。「その地域に興味を持っている人は限られている。多くの受検者を継続的に集め続けるのは簡単ではない」と、日本商工会議所流通・地域振興部の大島昌彦氏は語る。

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