体感型理数ミュージアム・リスーピア、素人目線が生む面白さが子供も大人も驚かせる
来館者の3人に1人が再訪する。30回訪れ、まだ足を運び続ける小学生がいる--。パナソニックが2006年8月に開設した体感型ミュージアム「リスーピア」(東京・有明)は、科学館や博物館がしのぎを削る都内で高いリピート率を誇る。しかもテーマは多くの小中学生が苦手な理科と数学。大手館の10分の1の展示面積だけに来館者数は月約2万人だが、また行きたいと思わせる楽しさでは群を抜く。
展示の中でも一番人気は「素数ホッケー」。見た目はおなじみのエアホッケーだが、パックの代わりにプロジェクターで盤面に照射された数字を打つ。素数ではない数字は打って約数に分解し、素数になればゴールに取り込む。ゲームの興奮と「こんな大きな数も素数なのか」という発見が、学校では退屈な暗記項目だった素数を面白く感じさせる。
幼児には「放物線の焦点」(写真)が人気だ。ボールを落として曲面で跳ね返らせると、中央の穴に飛び込む。「放物面に垂直に当たった力は焦点に集まる」という物理法則の仕業。ほかの科学館ではパラボラアンテナの模型を使い説明することが多いが、ここでは子供ばかりか大人もボールの動きに目を丸くする。
30種類の展示ではどれでも「なぜ?」といった声が上がる。ここでは、既存の科学館のように説明文や図式を眺めて理解するのではなく、まず不思議な現象を目や耳で体感。「あれ?」と思った後に、ボードや手元の情報端末などで仕組みを知る順序だ。館内の女性スタッフも単なる説明役ではなく「これを動かすとどうなるかな」など、疑問を投げかける役に徹する。