3万個突破!「ゴミ袋収納」への凄まじい需要 手掛けたのは、あのデザイン界の風雲児

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NIIMI夫妻には小さなお子さんがいらっしゃるそうで、ファミリーならではの日常生活がヒントになったようだ。

レジ袋を持ち歩きたいニーズは強い

わが家にも3歳児がいるので、お2人が「こんな商品があったらいいのに」と思ったであろう背景が想像できる。子どもがいると、外出先でレジ袋類は必需品。使用済みオムツ、食事で生じるゴミ、鼻水を拭いたティッシュなど、ゴミ類の発生頻度が半端ない。

子どもがドングリを拾ってきたり、水たまりにダイブしてズボンが濡れたりしたときなども、レジ袋類は頼りになる。子連れ外出が当たり前となった今、持参していないファミリーの方が少ないのではないだろうか。

出先でレジ袋類を必要としているのはファミリーだけではない。実際の購買層をみると、子どもがいる家庭や主婦のほか、愛犬家も多いという。ちなみにメルボルンの店では、8割が犬の散歩需要だとか。その他、ギフトニーズも高く、山歩きでの需要などもある。最近ではテロ対策で街中や公園にゴミ箱がなく、レジ袋も自治体によっては有料となっており、こうした社会背景も購買を後押ししているようだ。

生活感を消してくれる外観と収納力

「アートは自己表現。デザインは、相手のことを考えて形にしていくもの」と、強調する名児耶秀美社長

当初、名児耶社長は、こんなに需要があるとは思いもせず、モニター調査に集まった女性の半数以上がレジ袋をバッグの中に忍ばせていたことにも驚いたそうだ。

しかも、商品を見て、彼女たちのテンションは上がった。「こんな商品を待っていましたという雰囲気で、『今すぐ欲しい』と言った人も」と、同社広報の戸村夏佳さんは振り返る。

おそらく「レジ袋持参族」は、皆悩んでいたのだ。少なくとも筆者は超悩んでいた。レジ袋類は、便利な一方、バッグやポケットの中で微妙に収まりが悪いのである。大き目に畳むといつの間にグシャッとなるし、小さく畳み輪ゴムで止めるとコンパクトだが迷子になりがち。そもそも所帯じみたオーラを放っているので、ちょっとダサい。

ポーチに入れて隠すのがベストなのかもしれないが、バッグを開け、さらにポーチを開けるという2工程にはイラッとする。もっと便利かつ美しく収まる方法はないのだろうか……。

「ポケット」は、こうした日々のモヤモヤを抱える人々を救済してくれたのだろう。キーホルダーの感覚で携帯するスタイルは、画期的。ありそうでなかった発想だ。バッグや鍵などにつけておけば、必要になった時にサッと速やかに取り出せる。

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