使い方も簡単だ。色がついている本体部分を裏返し、そこに小さく畳んだレジ袋を載せてまたクルッとひっくり返すだけ軽くてコンパクトだが、意外と収納力もある。筆者が愛用するダイソー製の取手付きビニール袋(約43cm×約23cm)は、丁寧に畳めば3枚は入る。25cm×18cmのポリ袋は、5枚入った。
スーパーで大量買いした時にも対応できる大きなレジ袋が入らないのは残念だが、「ちょっとしたゴミ対応」には十分だ。しかも、シンプルながらコロンとした愛らしいこの外観。生活感あふれるレジ袋をチラ見せしつつも、オシャレに仕上げている点がスゴイと思わないか。
デザイナーを応援する環境がなかった
ほぼNIIMIの原案どおりだというが、収納力とサイズのバランスには苦労したそうだ。素材は、同社の人気商品である動物型の輪ゴム「アニマルラバーバンド」と同じシリコーンを採用。当時、「よく伸びて丈夫なものを」と、国内のシリコンメーカーと開発したもので、実際、「10年経っても劣化しにくい」(名児耶社長)のだという。
ポケットでは、入口部分を肉厚にしてさらに強度を持たせた。選べるよう、カラーバリエーションも豊富に10色そろえた。人気色は、ピンクなどの暖色系だ。
このように、デザイナーの案を基に二人三脚で細部を詰め商品化を進めていく。名児耶社長は、現在デザイナーをサポートする側に徹しているが、かつては自身もデザイナーだった。
武蔵野美術大学在籍時にはショーウインドーディスプレーのアシスタントとして活動し、卒業後は高島屋の宣伝部で空間デザインなどを担当。その後、実家が経営する家庭用品メーカー・マーナに入社した。今では大手スーパーや雑貨店などでも商品をよく見かける有名な会社だが、当時は「品質はよいのに業績が悪かった」そう。ところが、デザイン改革に着手したら、売り上げが10倍以上アップしたのだという。
ここであらためてデザインの力を確信した名児耶社長は、「もっとデザイナーを応援してあげる環境があればいいのに」と思った。センスに秀でていても、商品を買ってもらうノウハウを併せ持つデザイナーはあまりいない。そんな彼らと消費者をつなごうと、2002年にアッシュコンセプトを設立したのだ。
ロイヤリティ契約を導入し、学生からプロまで、さまざまなデザイナーのアイデアを形にしていった。現在、世界的にも有名なデザイナー・佐藤オオキ氏率いる「nendo」のファーストプロダクトも、ここから生まれた。今やデザイン関連の仕事に携わる者でアッシュコンセプトを知らない者はいない。最近では商品の8割以上がデザイナーからの売り込みによるものだという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら