福岡にある宅老所に新しい介護モデルをみた 「優しく社会と繋がる未来がほしい」

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福岡にある、一風変わった「宅老所」ができた経緯とは?(写真:msv / PIXTA)

福岡県福岡市、介護施設の発行する雑誌がある。タイトルは『ヨレヨレ』。発行以来、九州は元より、各媒体で紹介され、ひそかに名を広めてきた雑誌だ。編集方針は「読んで面白い雑誌」。介護に縁のない人たちが読んで、「腹を抱えてげらげら笑ってもらえたら最高」、その内容は介護施設で起こったエピソードが中心だ。

発行元は社会福祉法人福岡ひかり福祉会が運営する「宅老所よりあい」。世話人としてその活動を身近に見てきた雑誌『ヨレヨレ』編集者が、「よりあい」の起こり、宅老所に加えて特別養護老人ホーム建設に至った経緯を、様々なエピソードを交えて語ったのが本書『へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々』だ。

「宅老所よりあい」、出発はあるお寺から

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「宅老所よりあい」は、1991年、福岡市伝照寺のお茶室で始まったデイサービスに発する。当時、伝照寺界隈に、とある一人の女性が住んでいた。明治生まれのその女性は認知症を発症し、風呂に入らなくなり、下の具合も怪しくなってきて、ガスコンロで暖をとるようになり、度々ボヤ騒ぎを起こすようになった。同じマンションの住民にしてみれば不安でしょうがない。その女性のもとを訪ねたのが、勤めていた老人ホームを退職したばかりの下村恵美子氏である。誰もが手を焼く頑固ばあさんに、激しい剣幕で言い放たれた。

「なぁんが老人ホームか!あんたになんの関係があろうか!あたしゃここで野垂れ死ぬ覚悟はできとる!いらんこったい!」

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