台湾政界の風雲児「時代力量」トップを直撃 「民進党とはケースバイケースの関係に」

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今後も規制緩和を行えば、大企業の利益がさらに増え、政治への影響力が強まる。一方では、ワーキングクラスの生活はかえって厳しくなり、政治への影響力も弱まってしまう。こうなると、こんな事態を招いてしまったことを反省して、自由貿易に対する概念を修正すべきだろう。われわれにとっては、自由貿易よりも「公平な貿易」こそ、よりよい概念だと考える。単純な規制緩和を行った後に生じうる悪影響は何かを、改めて検討する必要がある。

――では、台湾でも加盟が議論されているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)についてはどうですか。

これまで、台湾が犯した過ちは、中国依存を高めたことだ。経済的に行きすぎた依存は台湾をより弱体化させ、政治面でも独立性を喪失させた。台湾の対外貿易はほかの市場、特にわれわれが持っているような核心的な価値を共有する市場へと分散させるべきだ。未来の貿易パートナーとしてはこれからも日本と米国であり、両国との経済・貿易関係を強化すると同時に、東南アジアと欧州の市場まで開拓すべきだと思う。

TPPに加盟すべきかどうかは台湾固有の問題ではなく、グローバルな経済体制における問題だと思う。労働者権益や環境、食糧、食の安全や健康など、米国ではTPPに対する反対の動きも高まっている。日本でも同じだ。しかし、このような反対運動を見ると、TPPの内容が悪いから参加を全面的に放棄すべきかどうか、一方でTPPの内容をよりよいものに変え、自らの利益を得られるようにするのか、というものだ。

TPPは加盟・不加盟の選択だけの問題ではない

TPPによって、たとえば国の内部構造を変えたり、さらには労働者の権益保障や環境、健康などの問題の解決の一助にできるだろうか。加盟する、しないという選択の問題ではなく、台湾は他国が決めた内容をそのまま受け入れるのではなく、その中味をどうするかという点で積極的な役割をきちんと果たすべきだ。TPPはまだ発展途上であり、ただ入る、入らないという問題として見ると、それは台湾にとって有利な戦略ではないと思う。

――時代力量は、まずは「両岸協議監督条例」を制定した後でようやく、中国との自由貿易協定を締結できると主張しています。これは、中国との交渉や協定締結の前には必ず立法院の牽制と監視を受けて、検証と透明化を図ることが目的です。5月に民進党政権が始まった後、この条例の制定への動きはどうなるでしょうか。

ひまわり学生運動当時、民進党は「(両岸協議監督条例の)制定を先に行い、(協定などの)審査は後で行う」という主張を100%支持してきた。選挙後の民進党も、おそらくこの姿勢に変化はないと思うが、もし変われば、それは有権者にとって背信行為になるだろう。

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