台湾政界の風雲児「時代力量」トップを直撃 「民進党とはケースバイケースの関係に」
また、「周子瑜事件」と呼ばれている、韓国で活躍する台湾人出身の歌手が「中国人か、台湾人か」をめぐって謝罪に追い込まれた事件の影響もある。まだ16歳の女の子である周さんが、中国でも活躍しているにもかかわらず中華民国の国旗を手にしていたことに中国人が反発、投票日直前になって「私は中国人」と述べ謝罪した事件は、台湾人のアイデンティティをひどく傷つけた。そんな感情が、票を民進党に回してしまった部分もあるだろう。
とは言え、今回の選挙結果を全体的に見れば、台湾の民主政治の深化、そして政権交代による今後の政治に対する希望、新たな国会の構成など有権者が政治に対して強い期待感を示したと思う。
――国民党は今回の選挙で大敗しましたが、再起するでしょうか。
現状は、国民党に属する保守(守旧)勢力は権力を握り続けようとしている。党内では一部の若い世代が改革を望み、問題となっている党の資産(党産)の清算を主張している。また若者たちは中国との関係を再整理し、「一つの中国」の路線を受け入れていない。国民党が再起するのか、あるいは崩壊するのかは、この両勢力の綱引きの結果によるだろう。保守勢力が権力を握り、改革を要求する若い世代を無視して中国と再び接近したり、党産問題を解決しようとしなければ、国民党の未来はないと思う。
中国は普遍的な人間の価値を侵害している
――「周子瑜事件」について、この事件の本質をどう見ていますか。もしあなたが総統だとすれば、この事件をどう解決しようと思いましたか。
海外で自国の国民がこのような状況に直面したら、政府はその立場を明確な態度で保護、応援すべきであり、同時に中国政府に対して強いメッセージを送るべきだと思う。中国政府や国民がこの事件に対して示した行動、すなわち「台湾も中国の一部」と言わせるようことは、中国側がつねに訴える「両岸関係(中国と台湾の関係)を改善すべき」という主張とは裏腹なものだ。かえって、台湾国民が中国から遠ざかることになるだろう。
われわれ時代力量はこれまで、台湾と中国間の往来や交流に反対していない。しかし、中国とは交流すべきだという国民党時代からの流れとそれが産みだした結果が何だったかについて、われわれはもっと神経を使うべきだろう。
この事件を通じて台湾と中国の交流は、中国共産党が覇権主義(ヘゲモニー)を目指している中にあることをはっきりと示すことになった。国際社会において台湾国民が当然受けられるべき尊厳をなくした。この事件は誤った両岸政策による被害者だと考える。ただ「平和」を叫ぶだけでなく、台湾政府は中国とともに台湾人の尊厳と国際社会における国家としての地位が維持される交流関係をつくりだせるかどうか。われわれが今後、一所懸命に開拓すべきことだ。
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