学生運動が起点、いま台湾は激変前夜にある 「第3勢力」が与える影響力は大きい
台湾では1月16日、総統選挙と同時に、日本の国会に当たる立法院選挙が行われる。今回の立法院選挙では、これまでと違った変化が生じている。
最大野党・民主進歩党(民進党)にとっては、総統選で勝利し、なおかつ立法院で過半数を取る可能性がある。さらに、「第3勢力」と言われる新興政党が登場、今回の立法院選挙にどのような影響力を与えるかが注目されている。
変化の波は4年前、青年の死から生まれた
まず基本をおさらいしておこう。
台湾の総統の任期は米国と同様、1期4年・三選不可だ。国会議員に相当する立法委員の任期は4年。立法院の定数は113で、現有議席は中国国民党(国民党)65、民進党40、親民党3、台湾団結聯盟3、無党団結聯盟1、無所属1となっている。立法院選挙は、小選挙区から73議席、台湾の原住民枠が6議席、比例代表・海外華僑から34議席と決められている。
変化は、すでに4年前から始まっていた。きっかけは現在の国民党・馬英九総統の2期目が始まった2012年半ば、学生を中心とした反対運動が起きたことにある。親中的なメディアが台湾のメディアを買収する動きに出たことに対し、「テレビなどメディア市場を中国側が独占・寡占するのではないかという不安が爆発した運動だった。
翌2013年には、台湾南部・台南市にある国立成功大学を卒業した洪仲丘氏(当時23歳)が兵役期間中、不当な差別と強制的な体力訓練で死亡する事件が起きた。国軍はこれに対し証拠隠滅を行い、責任者に対する処分も行われていないことに多くの国民が激怒。台北市で行われた抗議大会には、市民約25万人が集まった。