台湾政界の風雲児「時代力量」トップを直撃 「民進党とはケースバイケースの関係に」
――時代力量が推進する目標の一つに「憲政改革運動」があります。具体的に、どのような内容ですか。本格的な憲法改正によって、中華民国憲法ではない、現実の台湾に則した憲法改正が必要だという考えも表明されています。
台湾の国民は今でも、実質的に憲法改正に参加できない。これには、日本の友人たちも驚くだろう。1991年から前はまったく機会がなく、2001~2005年にかけて行われた7回の憲法改正は、すべて当時の憲法に追加すべき問題を解決するためだけに行われており、憲法本文や全体をどうするかということは計画になかった。そのため、改正してもなお、憲法には多くの問題が残されたままだ。
そして、これまでの憲法改正はすべて「エリート的」な改正だった。少数の政党には参加への道を閉ざしたままだった。また、現在は国民投票という形はあるけれども、国民全体が実質的に直接参加できるシステムがなかった。この2つのために、国民は憲法に対して関心がなく、また国民に憲法意識を育てることがとても難しくなっている。
そのため、台湾国民に憲法改正への権利と機会を付与されるようにし、自らの意見表明と参加によって、未来の台湾にとってどのような憲法が必要なのか、また基本的人権の保護を拡大するにはどうしたらよいか、権力間の監督と牽制機能をどう構築すればよいか、台湾の国家的地位の問題をどう処理していくかなど、国民が参加できる権利があるべきであり、政府も積極的な役割を果たすべきだと考える。
真の憲法改正が時代力量の目標
――現行憲法の最大の欠陥は何だと考えますか。
基本的に、一国の憲法は基本的人権の保障、中央政府体制の規定、特に行政・立法権間の監督と牽制、そして国家の基本精神と地位などに区分できる。
現行の台湾(中華民国)憲法は、1945年に国民党政府が大陸で決めたものを台湾まで適用させたものだ。その際に、消極的な自由権保障、勤労の自由、労働権益には言及されているが、社会権や人権などは憲法では明確に保護されていない。
権力に対する監督と牽制は、より深刻だ。日本は英国のように内閣制の国であり、米国は大統領制だ。台湾は「半大統領制」の国家だと言える。だが、総統は直接選挙によって選ばれ、相当な権力を持つ。総統が持つ権力と比べると、立法院(国会)が持つ権限は制限されている。行政権に対し立法権が効果的に監督と牽制を行使できず、行政部門の権力や責任がはっきりとしない。
現在の民主憲政の秩序において、われわれが重視しているのは権力がどのように明確に区分されているか、互いに監督・牽制されているかという点だ。台湾の憲法にはまた、考試権(公務員や専門家の資格についての試験や任用といった人事権)と監察権がある。日本の場合、人事は行政権に含まれ、監察は立法権に含まれている。これが台湾のように分かれていると、立法権と監督権の機能が実質的に発揮させられないことになり、民主憲政による秩序も混乱しやすい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら