上野千鶴子さん、なぜ「女」は辛いのですか? 20~30代が知らない、日本の「女の歴史」
――フェミニズムは解毒の役に立つのですか。
ものすごく役に立つわよ。私も、自分が生きていくのにとても役に立ったもの。だからこそ、若い世代にフェミニズムを知ってほしい、受け継いでほしいと思います。
フェミニズムを知ると、生きづらくなる、という人もいます。たしかに多くの場合、問題の根深さ、構造を知ると、簡単には解決できないとわかるから、短期的にはつらくなるでしょう。それでも、長期的には、フェミニズムはあなたをラクにしてくれるはずよ。
そうだったのか! と、問題の本質を知ることで、知的快感を覚える人もいますが、それだけではありません。自分が感じている、もやもやした感覚、これはおかしいんじゃないか、という言語化できない感覚に、言葉が与えられて、社会とつながっていくから。
権利は天からは降ってこない
――具体的に、どうすればいいでしょうか。
女性が、声を上げて言い続ける必要があるわね。さっき、夫に家事を要求すべし、とお話しましたが、女性は、身近な男性だけでなく、会社と社会にも要求するべきです。だって、今の働く女性がお茶くみをしなくて済むのはなぜか、考えてみたこと、ありますか? 誰か上の世代の女性が、お茶くみはしたくない、と言ったからです。
特に働く女性に言いたいのは、あなたが今、お茶くみをしなくて済む環境は、あなた以前の女性たちが作ってくれたもの。権利は天から降ってくるものではないんです。だからあなたには、今のあなたが少しでもラクになるように、要求して声を上げてほしい。自分は何もせずに人が作ってくれた環境に甘んじていてはダメ。それではフリーライダー(ただ乗りする人)になってしまうから。
あなたたち、みんな忘れているのが、労働基準法だって雇用均等法だって、天から降ってきたわけではないってこと。みんな、裁判などで闘争して勝ち取ってきたのよ。
(撮影:今井康一)
※この記事の後編は2月4日(木)に公開予定です
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら