チャイナマネーが食指、中国のデベロッパー幹部が日本を視察《不動産危機》
3月27日午後、東京湾岸の某所に観光バスが止まり、中から20人ほどの中国人グループが降り立った。そして売り出し中のタワーマンションのモデルルームに吸い込まれていった。
展示内容が非常に充実した、このモデルルーム。中国人グループは壁をたたいて材質を確かめたり、展示されている調度品を手に取ってみたりと興味津々だ。中国ではマンションはスケルトン状態で取引され、内装は買い手が行うことがほとんどなので、こうしたモデルルームの存在自体が新鮮に映るのかもしれない。
実は彼らは観光客ではない。いずれもデベロッパーの幹部で、不動産のプロ。インターネット上で不動産物件情報サイトを運営する中国企業、「新浪楽居」が企画した日本不動産の視察ツアーに参加したメンバーだ。
地方の中古物件に現実的な興味示す
新浪楽居は2億人のユーザーを持ち、1日のページビューが12・6億回を誇る中国最大のポータルサイト「新浪網」の子会社。新浪楽居のホームページには常時1万5000件の中国国内新築マンションの物件情報が提供され、ネットによる物件売買にも対応している。物件情報の掲載による広告収入を軸として、昨年の売り上げは3億元(約45億円)に達した。その新浪楽居が唯一、扱っている海外不動産が、日本の不動産。日本のベンチャー企業、JCLホールディングスとの提携で運営している。
JCLは中国の富裕層をターゲットにした日本の不動産販売を目指し、2007年から中国国内でのマンション販売の説明会に出展するなどして中国人のニーズを探ってきた。その結果、中国人がどのような不動産に興味を示すかがわかってきたという。昨年3月に、JCLが上海で開いた説明会で調べた結果では、日本の不動産の購入を考えている中国人のうち投資を目的としているのは25%だけで、自己使用(子弟の留学なども含む)を想定している顧客がほとんどだった。JCLでは当初、投資目的で買う層を主な対象に想定していたのだが、自己使用を志向した層の掘り起こしに戦略を切り替えた。