個別最適の乱立に限界“クボタ標準”への集結を--益本康男・クボタ社長

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 個別最適で見ていたら、その事業部が弱くなったら「それでおしまい」でした。そうではなくて、独自では上向かなくても、事業部ごとの強みを組み合わせて(組織全体で)弱体化した部門を立て直すことも必要です。そういった狙いで執行役員会を新設しましたから、今は侃々諤々(かんかんがくがく)の会ですよ。今後は実質的に、執行役員会が会社を動かしていくような形になると思います。

--新設された「技術開発戦略会議」はどのような組織ですか。

社長就任が決まってから、各事業部の幹部に、5~10年後にどんな技術が必要か、ヒアリングしてみました。しかし、答えが返ってこないのです。なぜかと調べたら、この4~5年、業績好調が続き、現状の水準を維持するため、現場は競争相手を見ながら目先の技術改良を続けなければならない状況でした。つまり、5年先のことを考えられる環境ではなかったのです。

ただ、このままでは5~10年先の事業が心配になりまして、将来を見据えた技術者を育てるために「技術開発戦略会議」を設置しました。基本的に(事業部ごとの)役員と部長クラスで構成。メンバーは将来技術に対する意見を言えなければ、「帰れ」と言われるような会議です。

--同様に新設された「品質・モノづくり戦略会議」も、部門横断型の組織ですか。

モノ作りを徹底的に見直す組織です。効率的なモノ作りができているかをあらためて検証してみると、クボタは随分と崩れていると感じています。これまで、工場ごとに個別最適の方法が乱立してきましたからね。全部の工場が「クボタスタンダード」を基に活動しなければなりません。もう一度、モノ作りを一からやり直していきます。

--若手社員の「閉塞感」を気にされているとか。

拡大基調で来ましたので、若い社員には多少の疲れがあるのではないかと思います。10年後の会社を動かすであろう30~40代前後の社員の目に輝きが見られません。その点、中国の30~40代は、われわれと話していても、「何か盗んでやろう」といった意欲を感じます。

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