個別最適の乱立に限界“クボタ標準”への集結を--益本康男・クボタ社長
30~40代の社員と議論していると、みんな目先のことを一生懸命やっているのですね。たとえば、営業部門の社員は「あそこの特約店や販売店がこういうことになっていまして、それをひっくり返さなければ……」といった調子です。このままの状態で仕事を続けさせたら、その社員はこれで一生終わってしまうのではないかと懸念しています。
環境部門の社員も赤字が2~3年続いてきたので、徐々に意見を言わなくなってきました。私が会議の席で厳しく叱咤すると、社員は余計に萎縮してしまう。若い社員はやんちゃになっていいので、本当は向かってきてほしいのです。彼らが失敗したって、会社は潰れませんよ。彼らにとって失敗は貴重な経験であり、決してマイナスにはなりません。
--これまで現場主義を貫いてこられました。社長になってもその姿勢は変わりませんか。
多少時間ができてきましたので、これからは本社にいる時間は少なくなると思います。お客さんのところに訪問して、「あんたのところの機械は無茶苦茶や」といったおしかりなども聞きたいです。
経営者は月ごとに実績数値を見ていますが、その数値が生まれてくる現場を知らないと、経営プロセスが効率的か否かといったことを数値だけで判断してしまいがちです。それでは会社そのものがわからなくなってしまう。そうならないために、私は現場へ行きますよ。
ますもと・やすお
1947年生まれ。京都大学工学部卒業後、71年にクボタ入社。枚方製造所建設機械製造部長、宇都宮工場長など技術畑を歩き、2002年取締役。09年1月より現職。赤字の機械部門を立て直した実績を持つ。趣味は釣りで、タイ釣りが得意。
(梅咲恵司 撮影:ヒラオカスタジオ =週刊東洋経済)
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