二面性を抱えて驀進する中国経済の懸念点

消費は有望だが、製造業は過剰設備が重荷に

北京のホテルでCCTV総合をつけっぱなしにしていたら、観光のCMがよく流れることに気がついた。「青島の海はこんなにきれいですよ」とか「西安を訪れて悠久の歴史に触れましょう」なんてことを言っている(筆者は中国語がまるでできないが、その程度はわかる)。要は観光がブームとなっている。国内と海外の両方で、中国人民の大移動が始まっているのである。

中国が進める「希有壮大プロジェクト」

今週、日本政府観光局が最新の訪日外国人客数を発表した。2015年通年のインバウンドは1973万人と、政府目標の「2000万人」に迫る好調さを示したが、第1位は前年比倍増(+107.3%!)の勢いだった中国からの499万人であった。すなわち、インバウンドの4人に1人は中国人だった。おそらく来月の春節(2月8日)前後には、またまた大挙して観光客がやってくることだろう。

中国経済が減速すると、「爆買い」は下火になるとの観測がある。しかるに中国の消費ブームはまだまだ続くだろう。ついでに言えば石油安のメリットは、中国経済にも働くことを忘れてはなるまい。

かくのごとく中国の家計部門と個人消費は有望なのだが、問題は企業部門と設備投資である。特に製造業は明らかな過剰設備を抱えてしまっている。粗鋼生産量は8億トンだが、そんなに大量に鉄を作って、いったいどこで使うのか。過剰設備は、債務と雇用の過剰を伴うもの。つまりは1990年代の日本経済と似たようなことになっている。調整には長い年月を必要としそうである。

筆者が参加した日中シンポジウムでは、日中関係や東アジアの安全保障問題などとともに、「一帯一路構想」がテーマになった。陸と海の2つのシルクロードをつくり、交通インフラなどに大量の投資をしようというものである。

まことに希有壮大なプロジェクトで、いわば「ユーラシア大陸版のマーシャルプラン」といったところか。今月、鳴り物入りでスタートしたAIIB(アジアインフラ投資銀行)も、この計画のために用意した「お財布」のひとつと見ることができる。中央アジアから欧州、中東へと中国のプレゼンスを強めるとともに、国内の需要不足をこれで一気に解消、と狙っているのかもしれない。

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