残念ながら株式市場は手を付けられない状態 一部の投資家は中小型株に活路を見出す動き

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15日のニューヨーク株式市場は約4カ月半ぶりに1万6000ドルを割り込んだ(写真:ロイター/アフロ)

大発会からの6連続安は、戦後の取引所再開以来、初めてのこととなった。2016年の波乱の1年を想像させ、目の前で下がって行く保有株を見て、投資家の多くが戦意を喪失してしまっている。

現物投資家はそれでも、昨年の利益もあり潤沢な資金を背景に冷静に見ることは出来るが、信用取引中心の投資家は、含み損拡大や追証に負われ、相場観どころではない。機関投資家も、こうなると押し目買いは出来ず、ヘッジ売りに忙しい。

それにしてもマーケットは悪材料山積だ。よくぞこれだけ次々に出てくるものだと感心する。今の悪材料を列挙すると、中国経済不安、元安・株価の混乱、原油安、産油国ファンド(SWF)の売り、円高、中東および北朝鮮の地政学的リスク、アメリカ経済・利上げの不透明感、大幅減益になるかも知れない米企業業績、移民が押し寄せる欧州経済、ロシアの経済危機その他数えれば10指にあまる。

マーケットの流れが変わるために必要なこと

このマーケットの流れが変わるためには、この悪材料の事象が変わることと、悪材料に対する評価が変わることだ。たとえば、原油安は底を打って反転が明確になれば、わかりやすい事象の好転だが、現在の需給関係を考えるとかなりの時間を要することは容易に想像できる。

しかし、原油安を日本にとっては大きな好材料だと評価を変えるのはいつ起きてもおかしくない。昨年1年間で8兆円もの巨額資金を産油国から獲得したとも考えられる原油安。その事実が今はまったく無視されているが、無視され続けることはありえない。どこかで評価が変わるはずだ。もしかしたら今月後半から本格化する日本企業の決算数字で証明されるかもしれない。円高についても、円安トレンドに戻るには時間がかかるかも知れないが、日銀の追加緩和期待に変わることは一瞬で出来る。

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