日本人が知らない海外の大炎上事件トップ5 ウォルマートのケーキは何がマズかったのか

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このビールを飲むと、ついつい酔っ払って男性の誘いにNOと言えなくなってしまうのか、そういう雰囲気ができあがるのかはわからない。ただ、誤解を招く表現ではあるだろう。性的な暴行に加えて、あまりに飲酒に対して無防備でありすぎるといった批判もあった。つまり、これが飲酒運転などの行為も助長するというのだ。企業の社会的責任の問題にまで論が進み、SNSを中心に議論が盛んになった。

表現の自由と、そして企業ブランドイメージと、そしてセクシャルハラスメント、アルコールハラスメント――。さまざまな要素がここには入っている。

その意味を知らなかった…

【第1位】まさかのISISケーキ

最後は米国最大の小売チェーン、ウォルマートだ。米国ルイジアナ州スライデルのウォルマートで顧客の要望に応じてISISのシンボルがはいったケーキを焼き販売してしまったという。ISISとは言うまでもなく、あの「イスラム国」のことである。これも「walmart isis cake」で検索してほしい。

歴史的な説明は省くものの、ウォルマートは当初、この顧客からの要望であった「Confederate flag=南部旗」は作成を拒否した(おそらく店員も排外主義の可能性があるこの旗の意味を理解したのだろう)もののISISのケーキを作り、それがYouTubeで公開され大騒ぎとなった。

これは単純に店員がISISのロゴに無知だったに違いないし、それに、顧客がYouTubeでウォルマートケーキを公開するとは想像もつかなかったに違いない。YouTubeでのタイトルは、そのまま「Walmart makes ISIS cake, refused Confederate flag cake.」となっている。

ケーキ職人は自分の腕にかけ、顧客が満足してくれるケーキをつくったに違いない。実際にウォルマートの広報は、担当者が「その意味を知らなかった」と述べた。しかし、同時に謝罪も行っている。「こんなケーキは作られてはいけなかった。誤りを謝罪したい("This cake should not have been made, and we apologize for the mistake.")」と。

トップ5からトップ2までは、企業のパロディがどこまで許されるかといった問題だ。そしてトップ1は、社員が悪意を持たず知識が足らないとき、企業はどこまで責められるのか、といった話になる。

私見はできるだけ排除した。もちろんなかには「許してやれよ」と正直な感想を持つ事件も少なくない。とくに私はウォルマートの事件については、騒ぐのはわかるにしても、ウォルマートのケーキ職人を責める気にはなれないでいる。もちろん知識不足だったと非難するのは簡単ではあっても。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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