ヤマハ発動機、悲願の「4輪車」参入を決断か 競合は独ダイムラー、欧州に超小型車で勝負
連結営業利益の額はリーマン前の2007年度と同水準でも、収益構成は大きく変化している。祖業の2輪事業に取って代わり、収益を牽引しているマリン事業は、先進国の富裕層が対象顧客。3兆円程度とみられる市場のうち、ヤマ発は約1割を占める。
シェア拡大を目指すが、市場は成熟しており、ここからの成長余地はわずかだ。2015年12月に発表した中期経営計画においても、2015年度から2018年度にかけて、マリン事業の営業利益は70億円の伸びしか見込んでいない。
また、回復道半ばの2輪事業も、かつてドル箱だったインドネシアなど、新興国市場で陰りが見えている。中国経済の減速の影響を受けて需要が縮小。現地通貨安も逆風となり、新興国市場における2輪事業の2015年度営業利益は350億円と、2014年度から11億円の減益を見込む。
2輪車は新興国向けが減速
2輪事業を押し上げているのは、かつて苦戦していた先進国市場。景気回復に新車の投入タイミングも重なり、2014年度の133億円の赤字から、2015年度は20億円の黒字に浮上する公算だが、利益額では依然として、新興国市場に大きく依存する。新興国には、世界シェア3割と断トツの首位を走るホンダをはじめ、インドのヒーロー・モトコープなど強力なライバルがひしめく。
ライバルのホンダはスケールメリットを生かし、2輪事業の営業利益率が9.9%と高い(2014年度)。対するヤマ発は同2.3%と大きく水をあけられている。ヤマ発の方針は、「台数を追うことなく、7〜8%超の利益率を目指す」(柳社長)、というもの。そのために同社が2012年から着手し、今後いっそう推し進めるのが、車台を共通化するプラットホーム戦略である。これにより開発・生産コストの抑制をもくろむ。
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