ヤマハ発動機、悲願の「4輪車」参入を決断か 競合は独ダイムラー、欧州に超小型車で勝負
2輪のプラットホーム戦略は、商品モデル数の絞り込みを意味するものではない。新興国ではむしろ、消費者のニーズは多様化してきており、それに細かく対応していく必要がある。たとえばベトナムの女性は、ハイヒールを履いて2輪車に乗ったとき、他人から美しく見えるかを気にする。だがインドネシアでもそうとは限らない。
そこで車台は国内で開発して共通化し、外観は現地に任せる。中計最終年度の2018年度には、モデル数を対2012年度比6割増にするという。
超小型4輪車を投入か
今後3年間のロードマップは固まったが、問題はその後だ。ホンダやスズキと異なり4輪を持たないヤマ発は、顧客との接点が限られる。消費者の購買行動を考えると、2輪からスタートしたとしても、家族を持つようになれば、4輪へシフトしていくのは自然な流れ。一度接点を持った顧客をつなぎ留めるためにも、4輪への挑戦は避けて通れない課題といえよう。
ヤマ発には4輪技術の蓄積もある。1967年、「トヨタ2000GT」の開発・生産に参画して以来、自動車用エンジン技術を培ってきた。
2019年以降に参入を狙っているのは、欧州の都市で短距離移動に使われることを想定した、超小型4輪車だ。同タイプの4輪車には独ダイムラーの「スマート」などがあり、100万台規模の市場になっている。ヤマ発は販売からアフターサービスまで一貫して対応したうえで、ビジネスとして成り立つか検討を重ねている。2019年から具体的な行動に移るとなると、「今後1年半以内に結論を出さなければいけない」(柳社長)。
業績好調で余裕のある今は、新規事業に挑戦する好機。次の成長の種をまくことができるか、ヤマ発の決断の時は迫っている。
(「週刊東洋経済」2016年1月16日号<12日発売>「核心リポート02」を転載)
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