貧しくも世界一エレガントなコンゴの男たち 武器を持たず、服で競う「サプール」の生き方とは

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バブルの時期にはブランドもので着飾り、デフレに入るとファストファッションを消費する。もちろん、それも生き方だ。何も否定される筋合いのものではない。でもそれは、あくまで経済合理性のもとに着るものを選んでいるように思う。良い服を着たいが将来が不安だし、贅沢はできない。ボロは着てても心は錦、で良いじゃないかと多くの日本人は考えるのではないだろうか。しかしサプールは「いい服はいい習慣を生みそれで人はまた成長する」と考え、ブランドものの高いスーツを買うのである。より主体的で、より未来を創ることができるのは、どちらだろう。

人格的にも高貴さが求められるサプール

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しかし、私がサプールに感化されて、いきなり高いスーツを買うようになれば、わが家の経済は瞬く間に破綻してしまうだろう。彼らの家庭運営はどうなっているのか、その辺も気になるところである。本書はその点にも触れている。彼らは、借金して買い物をするわけではないし、サプールであるためには人格的に高貴でなければならない。むしろ本物のサプールであることは、家族にとっても名誉で歓迎すべきことなのだそうだ。それは、すぐにできることではない。「いきなり」スーツを買おうと考える時点で、失格なのである。

この『地球イチバン』の放送が大反響となり、サプールの本が2冊刊行された。この転換期において、それは、知れば知るほど興味深い生き方だといえるのではないか。高貴、誇り、尊敬、平和、希望……サプールは、貧しい生活を送る人々の暗闇を照らす光である。そしてそれは、この資本主義の仕組みを逆手にとって、さらに強い輝きを放っているようにもみえる。彼らは、多くの一般的なコンゴの人々の模範であるばかりか、多くの日本人の心もとらえたのである。

多くの国で従来の基盤が揺らいでいる時に、このような生き方を送っている人たちがアフリカにいると知って、胸のすく思いになれるのは私だけではないのだろう。皆さんにも、この思いをぜひ味わっていただきたいものだ。

吉村 博光 HONZ

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よしむら ひろみつ

夢はダービー馬の馬主。海外事業部勤務後、13年間オンライン書店e-honの業務を担当。現在は本屋さんに仕掛け販売の提案をする「ほんをうえるプロジェクト」に従事。

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