完全雇用なのにGDPが伸びないのはなぜ? 日本型雇用の変革がカギを握る

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「GDPへの貢献が小さい就業者」とはどういうことか。増えたのは働く時間が短い層である可能性がある。

GDPを押し上げるのは「就業者数×一人当たり総労働時間」で算出される労働投入量である。2014年1~3月期から足元(2015年7~9月期)の労働投入量は0.7%増加となっており、就業者の伸びである0.9%を下回っている。これは同期間の一人当たりの総労働時間が0.2%減少したことを意味する。

労働投入量の前期比変化率に関し、2013年1~3月期以降の動きを振り返ってみると、就業者数はコンスタントに増えている一方、労働時間は減少が目立つ。「完全雇用なのに景気が良くならない」ことの原因はこの辺りに求められそうである。

「実質GDP=労働生産性×就業者数」との式から現状を見た場合、2014年1~3月期から足元(2015年7~9月期)に関しては、就業者数が増えても(プラス0.9%)、生産性が低下しているので(マイナス1.8%)、GDPが押し上げられていない(マイナス0.9%)ことになる。2013年1~3月期以降、就業者数は継続的に増えているが、生産性が低いのでGDPが押し上げられていないのである。

どんな人の雇用が増えたのか

では、就業者数の増加がどういった層によってもたらされたのか。

2014年1~3月期から足元(2015年7~9月期)までの期間で、就業者数は54万人増加したが、性別を見ると男性は4万人減少し、女性が55万人増えている(季節調整により厳密には合計は一致せず)。女性が増勢をけん引したことが分かる。

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