ペンタゴンが実施したゾンビ襲撃をシナリオにした実践トレーニングは、『CONPLAN 8888-11』と呼ばれるもので、2011年に一般にもその内容が公開されている。このトレーニングはもともと、「Out of the box thinking training」つまり、「常識」という箱から抜け出して、思考を創造的に鍛えるための訓練としてデザインされた。
ゾンビが人類を攻撃するというシナリオは、大規模な緊急事態シミュレーションにはもってこいといえる。登場するゾンビも奇想天外で、鳥インフルエンザを彷彿させるチキンゾンビ、魔術をつかう特殊なゾンビ、宇宙からやってくるゾンビ、肉を食べないという設定のベジタリアンゾンビなるものまで、細かい設定がある。特徴が違う複数の歩くゾンビたちに、どう立ち向かうかを記した公開文書は、実に31ページにも及ぶ内容だ。
ペンタゴンで扱う案件は「想定外」のことばかりである。実際にゾンビ襲撃に対処することはないかもしれないが、想像すらできないような脅威への対処は、日常茶飯事といえる。「頭を柔軟に動かし、固定概念の中に納まらずに物事に対処している力」は、どんな時にも有効だ。困難を乗り越えるには、私たちはつねに「常識」という箱を抜け出さねばならない。
私たちが抱える最大の脅威は「恐れ」
しかし実際には、想定外はどこでも起こる。何もこれは、ペンタゴンに限られたことではない。地震や火事などの災害に始まり、リストラ、人間関係のもつれ、仕事の失敗、男女間の問題、子供の問題など、「まさか」と思うようなことは、誰の人生にも起こりうる。そしてそれらの「まさか」こそ、あなたの人生における「ゾンビ」なのだ。
私たちがそんな「ゾンビ」に遭遇した際に、最大の脅威になるものが、自らの「恐れ」。予測していなかった事態を経験すると、人は多かれ少なかれ「恐れ」を感じる。しかし人が恐れを抱く時、無意識のうちに望ましくない反応に自ら陥ってしまうことは、少なくない。あなたは、次のような反応をしてしまった経験はないだろうか。
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