新日本監査法人は旧中央青山の教訓を生かせ 奥山章雄・中央青山監査法人元理事長に聞く
監査は毎年同じことを、ルーティンのように繰り返している。そうでなければ監査法人内で、報告を出す期日に間に合わない。問題の有無は内部統制に依拠している。こうした状況下、(粉飾決算のような)問題を発見することは、よほどイレギュラーな取引がない限り、難しい。
コスト的には全然見合わないが、何年かに1度、監査人が発生から集計まで、すべての原価計算を追いかける必要があるのではないか。
中央青山から新日本へは1000人以上が転籍
ーー中央青山の教訓は新日本に生かされていると感じるか?
当時、一番ひどいと思ったのは2006年5月に、同年7月〜9月までの業務停止命令が発表されたことだ。3月期決算の会社は6月に株主総会を開催する。会社としては問題なく株主総会を乗り切ろうと思っているのに、業務停止になった監査会社として再任することができるか。
しかも当時の商法上のルールでは、業務停止期間が2か月以上になると、一時監査人を選任しなければ、継続監査とはいえないということだった。あの時、腹立たしく思っていた会社が大部分だったはず。中央青山を選んでくれた会社もあったが。そうではない会社も多かった。
今回、金融庁の処分が決まったことで、新日本は問題点がなかったか、精査すべき。特に監査法人として、東芝のここは把握できなかったが今後はこうした対応をする、という問題点と、改善策の徹底的な「見える化」をすべきだ。
12月期や3月期を本決算とする企業は多い。私が監査役を務める会社でも、新日本を監査法人として使っているが、何が問題か分からないままでは、監査法人の選任を株主総会に諮れない。問題と対応策が明確になれば、「改善するなら協力します」という判断になる。
新日本には中央青山から1000人以上が転籍した。私の改革が浸透したかわからないが、対応策は伝わっているだろう。直っていないところがあれば改善してほしい。
(「週刊東洋経済」2015年12月26日-1月2日号<12月21日発売>核心リポート01に加筆)
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