“監査難民”の末路 不良企業は市場退出へ

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大手監査法人の一角である、みすず監査法人の解体と上場会社監査事務所登録制度の導入。この2つの波によって大量の監査難民が発生することは間違いない。

 決算証明を行う監査法人が見つからずさまよい続け、上場廃止に追い込まれる--。そんな“監査難民”の問題が、いよいよ現実のものになってきた。

 ゴールデンウィーク明けの5月7日、相次ぐ不祥事により存続困難と判断し解散を決断していたみすず監査法人(旧中央青山監査法人)は、全職員約2400人の移籍先を発表した。今回のみすず解散で移籍を迫られるのは職員だけではない。みすずに監査を依頼していたクライアント企業も“移籍”が必要だ。

 みすずが監査をしている上場企業数は3月末時点で約600社(うち140社は他法人との共同監査)。だが、これらすべてのクライアント企業が、担当公認会計士の移籍先の監査法人へスムーズに移行できるかといえばそうでもない。

 「受け入れた場合のリスクを考え、断る場合が当然ある」と大手監査法人の首脳は口をそろえる。「会計ルールの厳格な運用に対し理解が足りない」「手間が掛かる割にカネ払いが悪い」など、いわゆる監査リスクが高い企業については、受け入れを辞退する可能性もあるわけだ。今は内部統制システムの導入など、監査法人の業務が多忙を極めており、会計監査の現場は慢性的な公認会計士不足に陥っている。割の合わない監査の仕事を避けたがる雰囲気は、極めて強い。

 ある大手監査法人は、みすずが監査を引き受けていた企業に対して事前の受け入れ審査を行ったところ、20社強の審査が終わった時点で2社の受け入れ拒否を決めた。ということは、かなりの数の“難民”が出てきても不思議ではない。

 しかも、難民はみすずの顧客だけから生まれるわけではない。日本公認会計士協会の増田宏一副会長(7月に会長就任予定)は「みすずからのクライアント企業受け入れを機に、各大手監査法人は自分たちの顧客についてもスクリーニングを行っている。その結果、監査契約を継続しないケースも出てくる。難民は、みすずクライアントだけの問題ではない」と言う。「難民を出すとはけしからん、と監査業界に対して批判が出るかもしれないが、難民となる企業側にも相応の問題がある。そのことを企業側も考えてほしい」(増田副会長)。

 監査法人の人手不足などで、問題のないような企業も割を食うことが考えられる。そのため、協会では後任の監査法人を見つけることができない企業のための相談窓口を設けている。現在のところ問い合わせは20~30件程度と少ないが、これは嵐の前の静けさなのだろうか。

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