新日本監査法人は旧中央青山の教訓を生かせ 奥山章雄・中央青山監査法人元理事長に聞く

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「新日本監査法人は問題と対応策の徹底的な"見える化"をせよ」と語る奥山氏(撮影:梅谷秀司)
  それはあっけない幕切れだったーー。かつて4代監査法人の一角として権勢を振るった中央青山監査法人は2007年7月末、40年近いの歴史に終止符を打ち、自主的に解散することを決めた。
 トヨタ自動車やソニーなど、大企業をクライアントに抱え、その規模は国内有数を誇った中央青山。ところが、カネボウの粉飾に中央青山の公認会計士が加担していたことが、2005年に発覚した。
 2006年5月には、金融庁から、同年7月から2カ月間の全面的な業務停止という厳しい処分が下る。中央青山からは、あらた監査法人(現pwcあらた)や京都監査法人といった、一部のメンバーが独立。残った中央青山は、業務停止命令を終えた同年9月にみすず監査法人と名前を変えて、再出発を図ったが、顧客離散に歯止めがかからず、2007年7月に解散した。
 監査法人業界は、東芝の不正決算を新日本監査法人が見逃したことで、再び信用問題に揺れている。当時の関係者は、東芝と新日本の問題に何を思うのか。
 カネボウ事件の直後、中央青山の理事長として矢面に立った、奥山章雄氏が東洋経済のインタビューに応じた。

中央青山のことを糧に、成長していってほしい

ーー2007年7月の中央青山解散から10年近くが経った。

あれから10年近くたったが、すべてが過去になったわけではない。当時起きたことは一体何だったのか、いろいろなことや対応を思い出す。多くの人があちこちの監査法人に行ったり、独立したりした。

それぞれの人が、当時の出来事を糧にして、生かし、伸びてくれればいいなという思いが交錯している。もう10年も前のことだから、当時のことを知らない人がだんだん増えてきた。

ーーカネボウと東芝の違いはどこにあると思うか。

カネボウでは会計士が決算書の粉飾に加担していたという刑事事件だった。一方、東芝では、会計士は加担していない。問題はトップがどこまで関与していたかだ。

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