プロ野球「トライアウト」一発逆転勝負の本質

新ルールは挑戦者にどんな影響を与えたのか

それは、わずかな可能性にトライすることに加えて、野球選手としての区切りをつけるためである。幼い頃からずっと打ち込んできた野球、自分のアイデンティティである野球を、簡単にやめられるはずがない。

トライアウトとは、プロ野球選手にとって、まぎれもなく「就活」であるが、一方で「終活」でもあるのだ。実際私も、2回目は完全に引退試合の気持ちだった。これがユニフォームを着る最後の日。いかに悔いを残さないかという気持ちだけだった。

だからこそ、一発勝負への変更は、むしろ選手からすればその1回に集中できるため良かったのではないだろうか。泣いても笑ってもチャンスは1回。野球を諦めたくないという思いを迷わず爆発させることができる。一球、一振りにかける思いは、より強くなったことだろう。極限の緊張感が、18.44mからほとばしっていた。1回に凝縮されたことで、トライアウトという人間ドラマは、その濃さを増したのかもしれない。

カウント0-0への変更でフェアな勝負に

続いて、カウントが1-1から0-0に変わることについての見解を述べたい。

1-1とは、1ボール-1ストライクのこと。例年はこのカウントからスタートだった。この1-1から勝負が始まることの難しさは計り知れない。通常、カウント1-1というと、バッターに有利なカウントだ。

2014年のデータでは、カウント1-1からの打率は.332(3割3分2厘)と、やはり打者有利カウントと解釈できる。しかし、それはあくまでカウント0-0から始まった勝負の話で、1-1になるまでには2球ボールを見ている。見た2球の間に、変化球が来たのか、ファールにしたのか、そこにはすでに3球目の文脈が作られている。

一方で、最初から1-1というカウントでスタートする場合、経験則だが、圧倒的に投手が有利と感じた。打者は1球でもストライクを取られると、たちまち追い込まれてしまう。1球目にファールでも打とうものなら、すでにカウントは1-2(1ボール-2ストライク)。投手からすれば、一番いい変化球をあと2球ボールにできる。カウント3-2(3ボール-2ストライク)になるまで、2球の猶予ができる。

私はトライアウトをキャッチャーとしても経験したことがあるので、この1-1から始まることに関して非常に配球しやすかったという感想がある。結論として、何が言いたいかというと、カウント0-0から始まるということは、非常にフェアなルールになったということである。

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