C型肝炎の特効薬、バカ売れで浮上する問題 2015年5月発売、いきなり国内販売トップに

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「ハーボニー」は、1型ウイルスの感染者向けに開発された

――「治癒」が実現する薬なので、数年後に売り上げが激減するリスクがあるのでは。現に、ソバルディは米国ですでにピークアウトしている。

リスクだとは思っていない。ソバルディ、ハーボニーは「治癒する」という意味で一般的な薬とはまったく異なる。慢性疾患の薬は10年、20年と飲み続けなければならないが、われわれの薬は12週間で治療を完全に終えることができる。この性質により、初期段階で多くの患者に投与されるが、新規の患者も出てくる。ただ、世界的にソバルディから(ソバルディの成分を含有する配合剤である)ハーボニーに徐々に置き換わっていくとは見ている。

――米アッヴィが2015年11月に、1型C型肝炎ウイルスの感染者向けの特効薬「ヴィキラックス」を国内で発売した。競争激化の中、勝算は?

C型肝炎薬での勝算は十分にある。ソバルディとハーボニーが優れた薬であることはもちろんのこと、ソバルディと別の薬剤による、新たな配合剤や併用療法も開発している。それにより、C型肝炎の領域ではつねに競合に一歩先んじていけるだろう。

治療完了までの薬剤費は500万円を超える

――ソバルディは1日1錠6万1799円、ハーボニーは1日1錠8万171円で、治療が完了するまでにそれぞれ約546万円(併用薬含む)、約673万円の薬剤費がかかる。

高い価格と言われるが、製薬会社は莫大な投資をし、非常に大きなリスクを負って、新薬を開発している。ソバルディ、ハーボニーもその中で生まれた。治癒するという革新的な効果や患者の数(国内100万人前後)を考えると、高すぎるとは思わない。ふさわしいレベルの価格だと考えている。

もし治癒しないままでC型肝炎の患者が長年治療を続けると、医療費は高額になる。一方で、特効薬を飲めば、今まで若くして亡くなっていた患者が元気になり、通常の生活を取り戻すことができる。長い目で見れば、医療制度への負担は軽減されるだろう。

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