C型肝炎の特効薬、バカ売れで浮上する問題 2015年5月発売、いきなり国内販売トップに

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ジョン・F・ミリガン●ギリアド・サイエンシズ社長兼COO(最高執行責任者)。1961年生まれ。イリノイ大学で生化学分野における博士号取得。1990年ギリアド入社。抗インフルエンザ薬「タミフル」開発の中心となる。2002年CFO(最高財務責任者)を経て、2007年COO、2008年社長に就任。(撮影:今祥雄)

――この薬があまりにも売れているので、厚生労働省は、ソバルディ、ハーボニーを主なターゲットに、年間販売額が1000億円以上などの条件を満たした製品の薬価を最大50%引き下げる仕組みの導入を決めた。

今までと違う状況であることを理解してもらっていない。売り上げが一気に伸びるのは、治癒する薬であるため、患者が短期間で一気にアクセスしているからだ。

――ソバルディはまだ製品になるかわからない臨床初期段階で、2012年に米国のファーマセット社を買収して獲得した。なぜ110億ドルという大金を投じる決断ができたのか。

決してリスクの高い買い物だったとは考えていない。当社にいる多くの専門家が、長年ファーマセット社を研究して、ソバルディの元になる化合物が、安全性や有効性に優れ、C型肝炎薬として非常に有望だと判断した。

ソバルディのような、遺伝子を構成するヌクレオチドに関与する薬は、世界の製薬会社でギリアドしか発売していない。その意味では、われわれがソバルディの元の化合物の性質をいちばん深く理解できていたと考えている。

有望な化合物を保有する企業は積極的に買収

――2015年11月に米ファイザーがアイルランドのアラガンを19兆円で買収すると発表したように、製薬業界ではM&Aが活発だ。ギリアドの方針は。

われわれの研究開発投資は、世界大手と比べるとまだ小さい。開発品ポートフォリオを拡充するために、今後もM&Aを続けていこうと考えている。当社にいる専門家やサイエンティストに調査してもらい、つねに有望な化合物を探している。

ファーマセット社の案件は大型買収に思われるかもしれないが、実際はそれほど大きい規模の買収ではない。ファーマセット社のように、人数的に小規模でも、有望な化合物をたくさん持っている企業を買収したい。

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