フィンテックは既存秩序の「破壊」ではない Moneytreeが構想する金融×技術の未来
Techの分野ではよく「disrupt」という単語が使われますが、我々が目的とするのはdisruptではありません。既存のエコシステムにジョインさせてもらい、我々の強みを提供することで、付加価値を生み出すということです。
自動化の文化がスタートアップ発の改革を後押しする
—— 「新しい付加価値」にはどんな例が挙げられますか?
Moneytreeに「フットワークの軽い連携」が可能な裏には、少人数で開発するためのさまざまな工夫があるという
IBMの勉強会でもお話したのですが、すぐに思いつくのは地方銀行にありがちな問題です。地方銀行にはよく、「一体型」といってキャッシュカードとクレジットカードが一緒になっているケースがありますが、「一体型」とは言っても実際にはそれぞれの基幹システムは別です。
そのため、財布に入っているカードは1枚でも、ユーザーは明細を見たいと思ったらそれぞれ違うサイトを参照しなければなりません。弊社のデータアグリゲーションを使えば、それを一つにするという提案が比較的簡単にできますね。
もちろん、銀行自身でもやろうと思えば基幹システムの統合は可能でしょう。でも、おそらくそれは億円単位のプロジェクト。システムを動かすのには検証も非常に手間が掛かります。我々のアグリゲーションであれば、それが2カ月程度できますから、非常に「フットワークの軽い連携」が可能であると提案できるでしょう。
—— 御社に「フットワークの軽さ」があるのはなぜでしょうか?
もちろん技術的には企業秘密が多いですが、「少人数であること」は一つのキーワードと言えるでしょうね。
人間はある面でどんなPCより優れた「機械」ですが、人数が増えるとどうしてもコミュニケーションに投資しなければならないコストが増えます。時間的にもそうですし、資料や根回しの手間がかかり、誤解を招く可能性も高まります。
弊社の従業員は現在18人。開発はその半分程度です。できるだけ少人数で回すために、毎回のように起きるプロセスは可能な限り自動化する文化になっています。
たとえば、現在進行中の開発のスケジュールをポーズして、2日間は何を作ってもいいというHackDaysという社内イベントを定期的に実施しているのですが、そこでアイデアとして出るものにも、自動化の話は多いです。