フィンテックは既存秩序の「破壊」ではない Moneytreeが構想する金融×技術の未来
また、少人数開発を実現するための取り組みとして、ベンダーさんが提供している技術を最大限に活用することで、自分たちはビジネス上、最も大切なところにフォーカスするということも心掛けています。
たとえば弊社ではAWSを使っていますが、Amazonユーザーはどんどん下の層のことは考えないで済むようになっています。弊社のエンジニアも、どういう体制にするかのテンプレートを書いたり、自動化するプログラムを書いたりはしていますが、「EC2の台数を管理する」といった仕事をしている人はいません。
——自動化するプログラムを書いたり、新しい技術にキャッチアップしたりする手間はどう考えていますか?
当然手間はありますが、AWSの例で言えば毎年CTOが渡米してカンファレンスで勉強するようにしています。新しい技術はそれこそHackDaysだったり、社内ツールだったりで試してみて、使えそうなら実装するという流れです。
それに、手間が掛かるとは言っても、だいたいのエンジニアは新しくて面白そうな技術は「とりあえず使ってみたい」と考えるものですからね(笑)。
非Tech企業との橋渡しとしてSIerの存在価値は続く
—— 話をやや戻して、日本の伝統的な金融機関と交渉する上で超えなければならないハードルはどこにあるでしょうか?最初からうまくいきましたか?
Moneytreeは設立して3年ほどが経ちますが、同じことを創業直後の3年前にやっていたら、おそらくダメだったと思います。似たような話を実際にしてみても、「発想としては面白いけれど、日本では現実的ではない」と言われることが多かった。
現在は金融機関の方でも、エンドユーザーに他の企業とは違ったバリューを提供しないとビジネスが成立しなくなるという危機感が高まってきています。なので、残るは技術的ハードルということになります。
たとえば、今までクラウドを使ったことがない企業がクラウドを使い始めるのに、どうすればいいのか。そこはいろいろな工夫のしどころだと思いますが、弊社では既存のSIerと組むという手段を採りました。
IBMにはハイブリッドクラウドという商品がありますから、いきなりフルクラウドを使うのには抵抗があるという企業に対しては、まずは各社のオンプレミスのデータセンターにクラウドを設置することで仮想化技術を体験してもらう、といった提案ができます。