新国立、僅差で大成建設のA案に決まった理由 再公募時点で勝負あり、「出来レース」の声も
JSCはアスリートや競技団体との意見交換を行い、第三者で構成する技術提案等審査委員会(委員長=村上周三・東京大名誉教授)が12月19日に非公開で両チームからヒアリングを実施。7人の委員が1人120点満点で審査し、この結果を基にJSCの大東和美理事長が1つを選び、12月22日午前の関係閣僚会議で最終決定した。
審査委員会の結果は、840点満点でA案が610点、B案が602点と、わずか8点差でA案の大成チームの勝利となった。
「A案」に決まった最大の理由は「工期短縮」
では、どういう理由でA案に決定したのか。1人の審査委員の持ち点は120点満点だが、その半分の60点はコスト(事業費の縮減)に30点、工期短縮に30点と配分されている。
A案の建設費1490億円はB案の1497億円よりも7億円安い。わずか7億円の差が大きな点数差につながったとは考えにくいが、実際に点数を見ると、A案の31点に対してB案は28点。しかし、工期短縮の項目では、A案が177点とB案150点に大差をつけた。ここで大きく明暗が分かれた。
施工計画ではユニバーサルデザインや建築計画の項目でB案がA案を上回ったものの、合計点はわずかながらA案が上回った。特に「(提案内容からさらに)コストは増えないか、工期は守ってくれるか。その実現性と信頼性を評価した」(村上委員長)。
またA案はスタンドが3層構造で屋根部分に木材を多用しているが、「工場で大半は製作して、現場で組み立てるので工期は短縮できる」(大成建設の山内会長)としており、労務者不足についても「外国人労働者も積極的に活用していきたい」(同)と不安がないことを強調した。
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